2008 Fiscal Year Annual Research Report
集水域からの総流出負荷量の区間推定法の確立に関する研究
Project/Area Number |
20580263
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
多田 明夫 Kobe University, 大学院・農学研究科, 准教授 (00263400)
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Keywords | USGS Load Estimator / ブートストラップ / バイアス修正 / Composite法 / 面源負荷量 |
Research Abstract |
平成20年度の実績は以下の通りである.観測については,後方散乱式濁度計を奈良県五條市の山林小流域(12.82ha)に設置し,10分間隔でのデータ収集を夏から開始した.様々なトラブル・問題点があったものの,現地で対処を施し,平成21年2月より安定してデータを収集している.降水量や流出量などのデータも収集しているところであり,懸濁物質と類似した流量に対する応答特性が得られている.負荷量の評価法としては,これまでに得られた水質と流量の高頻度データを元に,種々のサンプリング方法,負荷量の算出方法,信頼区間の構成方法の組み合わせについて検討した.この結果,ランダム・流量頻度に応じたサンプリングよりも,通常実施されている定期サンプリングが不偏な推定量を与えること,負荷量の計算に用いる流量と負荷量の回帰式には,流量の2次までの項を取り入れる必要があること,そしてComposite法というバイアスを修正する方法も併せて導入せねばならないことが明らかとなった.また,信頼区間の構成には,従来行われている,残差の正規分布を前提とした解析解に基づく方法では不十分で,ブートストラップ法を導入する必要があることもはっきりと示された.しかしながら信頼区間のパフォーマンスは95%の信頼確率に対し90〜100%であり,十分とはいえない.今後は,現在用いている最小自乗法ではなく,LAD(最小絶対誤差)法などにより回帰式のパラメータ推定を行う必要が示唆された.
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