2008 Fiscal Year Annual Research Report
子宮および胎盤における時期特異的な一酸化窒素産生とその調節機構
Project/Area Number |
20580329
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
滝沢 達也 Azabu University, 獣医学部, 教授 (00247305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 和明 麻布大学, 獣医学部, 講師 (50345873)
森田 英利 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (70257294)
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Keywords | ラット / 発生・分化 / スピントラップ・EPR / 生体分子 |
Research Abstract |
<研究内容> ジチオカルバメート鉄錯体であるFe-DTCSを一酸化窒素(NO)の捕捉剤としたスピントラップ・電子常磁性共鳴吸収法により、妊娠ラットを用いて、胎盤胎児部に限局したNO産生量を解析した。また、同時にNO産生に寄与する一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子の発現量を定量的RT-PCRにて測定した。その結果、胎盤胎児部におけるNO産生は、今回解析した妊娠13.5〜21.5日を通じて認められ、妊娠15.5日に著しい高値を示した。その後、妊娠末期の19.5〜21.5日にはNO産生が有意に減少していた。同部位の一酸化窒素合成酵素遺伝子の発現量を定量的RT-PCRにて測定したところ、NOS-3のmRNAには時期を通じて変化がなかったが、NOS-2のmRNA発現パターンは、NO産生量と非常に良く一致していた。NOS-2の発現は転写レベルで調節されていること、また、同じモル数のNOS-2およびNOS-3から産生されるNOを比較するとNOS-2はNOS-3の約1000倍であることなどから、本研究で得られた胎盤胎児部におけるNO産生にはNOS-3も関与しているものの、NOS-2の寄与が遥かに大きいことが明らかになった。 <意義と重要性> 本研究は、従来から妊娠中の子宮や胎盤などではNOが産生されているものの、NOが不安定であるため、産生量の変動などの詳細は不明であった。スピントラップ・EPR法を用いることにより、組織で産生されているNOを定量的に解析できることを示した本研究により、今後の胎盤機能の解析やNOの役割について基盤的な情報を提供するだけではなく、他の組織などでのNOの関与についての研究への展開が大いに期待できることを示した。本研究内容はJ.Vet.Med.Sci.,71(4):495-498,2009に掲載予定である。
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