2010 Fiscal Year Annual Research Report
子宮および胎盤における時期特異的な一酸化窒素産生とその調節機構
Project/Area Number |
20580329
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
滝沢 達也 麻布大学, 獣医学部, 教授 (00247305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 和明 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (50345873)
森田 英利 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70257294)
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Keywords | 動物 / 発生・分化 / スピントラップ・EPR / 生体分子 |
Research Abstract |
<研究内容>ジチオカルバメート鉄錯体であるFe-DTCSを一酸化窒素(NO)の捕捉剤としたスピントラップ・電子常磁性共鳴吸収法(EPR)により、ラットの子宮脱落膜におけるNO産生量を解析し、同時に子宮脱落膜におけるNO産生の役割を検討した。妊娠17.5日の脱落膜におけるNO産生は著しく高く、その後、妊娠末期に向けて有意に減少していた。また、このNO産生にはNOS3も関与しているものの、NOS2の寄与が大きいことが明らかになった。さらに、このNO産生を阻害すると脱落膜の間質細胞のアポトーシスが増加することから、脱落膜で産生されているNOは脱落膜細胞の生存に必要であることが示唆された。さらに、カスパーゼカスケード-3、8、9の発現量と酵素活性も変動したことから、NOがこれらのカスパーゼカスケードに影響していることが示された(Exp.Bio.Med.,2010)。 <意義と重要性>従来から妊娠中の子宮や胎盤などではNO産生が報告されているものの、NOの寿命が短く不安定であるため、産生量の変動などの詳細は不明であった。スピントラップ・EPR法を用いることにより、組織で産生されているNO量を定量的に解析できることを示した本研究により、胎盤や子宮におけるNOの機能解析について基盤的な情報を提供するだけではなく、他の組織などでのNOの機能解析についての研究への展開が大いに期待できることを示した。事実、ラット新生子においては、生後3週齢においてその前後と比べてNO産生が増加しており、この時期のNO産生は肝細胞の増殖に必須であることが示された(J.Vet.Med.Sci.,2010)。
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