2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580347
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
宇根 ユミ 麻布大学, 獣医学部, 教授 (40160303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 久実 麻布大学, 獣医学部, 講師 (70367019)
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Keywords | 疾病予防・制御 / 大量死 / 両生類 / カエルツボカビ / ラナウイルス / 吸虫症 |
Research Abstract |
本研究は、わが国に生息する両生類の種の保存と生物多様性および生態系の保全のために、カエルツボカビを含む新興感染症の日本在来両生類に対するリスク評価とその対策の検討を目的とした。 1.野生下両生類のツボカビ症を含む感染症のモニタリング 野外での両生類の大量死、不審死8事例(6都道府県、7種類)を病性鑑定し、うち1事例がラナウイルスによる大量死であることを明らかにした。なお、ツボカビ症は確認できなかった。 2.両生類の新興感染性病原体の在来種への病原性の検討 本研究期間中にウシガエルの大量死事例より国内初のラナウイルス感染症を見出した。本ウイルスは、カエルツボカビと同様にOIEリストに掲載される危険な病原体であることから、在来種12種を用いて病原性の検討を行なった。その結果、本ウイルスは供試動物すべてに致死的に働き、高死亡率を示すことを明らかにした。 3.カエルツボカビおよびツボカビ症の消毒、除菌、治療法の検討 自然発生性ツボカビ症および天然記念物であるオオサンショウウオを対象として、効果的および安全性の高い治療・除菌法を確立した。本法は希少種の生息域外飼育の際に推奨できる。 4.ラナウイルスの疫学調査 ラナウイルス感染症による大量死地域と非流行地で保菌動物の調査を行なった。その結果、複数個所で、様々な割合でラナウイルスを保菌する両生類を確認し、流行地以外にもラナウイルスが存在することを明らかにした。 5.小型サンショウウオの皮膚メタセルカリア症 阿武隈山系はもとより、茨城県、高知県および福井県でも本疾患が確認された。特に注目すべきは天然記念物のアベサンショウウオで感染が確認されたことである。 以上の研究結果より、ラナウイルス感染症と皮膚メタセルカリア症は国内で感染拡大の様相を示しており、早急に実態把握をし、流行の発生機序の解明、対策の検討が必要である。
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Research Products
(11 results)