2009 Fiscal Year Annual Research Report
飼養環境下の牛群におけるゼアラレノン浸潤動態の解明-特に繁殖性との関連性の検証
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20580355
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高木 光博 Kagoshima University, 農学部, 准教授 (40271746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 誠一 鹿児島大学, 水産学部, 助教 (50381140)
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Keywords | ウシ / ゼアラレノン / 尿サンプル / マイコトシキン吸着剤 |
Research Abstract |
ゼアラレノン(Zen)はFusarium属真菌により産生されるエストロジェン類似作用を持つマイコトキシンの1種であり、Zenに汚染された飼料を家畜が摂取すると、消化管から吸収されて一部が代謝された後、その代謝物とともに尿中に排出される。本年度は牛体内Zen動態に関する基礎データを蓄積するために、飼養形態が異なる牛群の尿中Zen濃度をELISA法およびLC/MS/MS法にて測定し比較検討するとともに、給与飼料中へのマイコトキシン吸着剤(MA)添加による尿中Zen濃度の推移を観察して、Zen浸潤動態モニター法としての有用性を検証した。まず、黒毛和種繁殖4牛群、同肥育5牛群を用いて、各牛群ともに同一飼料給与下の5頭から採尿して、尿中ZenとCre濃度を測定後、尿中Zen濃度[クレアチニン(Cre)補正値]を算出して各牛群間での比較検討を行った(試験1)。次に、ホルスタイン種(HL>搾乳牛1群、黒毛和種(JB)繁殖2牛群、同肥育2牛群を用いてMA添加試験を行った。試験期間中HL群はTMRを給与し、MA(40g/日)はTMRに均等撹拌添加して給与した。MA添加前、添加2週間後、添加休止3週間後、再添加2週間後および添加再休止6週間後に採尿して各期間終了後のZen濃度の比較検討を行った。JB群は午前の給餌時にMA(40g/日)をトップドレス方式にて1回給与し、MA添加前と添加2週間後に採尿してZen濃度の比較検討を行った(試験2)。試験1では各牛群のZen濃度は様々であり、繁殖牛群(6~25)、肥育牛群(7~21)各々において牛群間に有意差が認められた。試験2ではHL牛群のMA添加前のZen濃度は、59±24であったが、2週間のMA添加により、Zen濃度は36±10と有意に低下した。その後の添加休止期間および再添加期間におけるZen濃度に変動は見られなかったものの、6週間の休止期間後にZen濃度は54土12と再び増加した。JB4牛群におけるMA投与前後のZen濃度に有意差は見られなかった。以上のことから、尿中Zea濃度をモニタリングすることにより、牛群におけるZen摂取状況の把握が可能となり、また飼料へのMA添加効果を客観的に評価することができること、および給与飼料へのMA添加方法がその投与効果に影響を与える可能性があること、が初めて示された.
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Research Products
(1 results)