2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590007
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉浦 正晴 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (00376592)
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Keywords | Lewis塩基触媒 / 有機分子触媒 / ニトロン / ホスフィンオキシド / γ-アミノアルコール / 還元的アルドール反応 / クロロ化アルドール反応 / ヒドロキシカルボン酸 |
Research Abstract |
α,β-不飽和ケトンの共役還元反応が、有機Lewis塩基触媒によるトリクロロシランの活性化により、六員環遷移状態を経由して協奏的に進行することを見出したことを契機に、平成20年度から3年間の本助成を受けて、「有機分子に触媒される協奏的結合形成反応の探索」を行っている。最終年度となる本年度は、これまでの知見をさらに展開し、新たな成果を得ることができた。以下にそれを要約する。 1.開発したキラルなジニトロンが、アリルトリクロロシランによる不斉アリル化反応のみならず、我々の見出したトリクロロシランによる還元的アルドール反応にも、不斉Lewis塩基触媒として有効に機能することを明らかにした。反応によって最適な触媒が異なり、ジニトロンの構造修飾性が活かされた。 2.構造修飾の容易なホスフィンオキシド型Lewis塩基触媒としてのDIOPジオキシド(DIOPO)誘導体の汎用的合成法を確立した。得られたDIOPO誘導体を還元的アルドール反応やイノンのクロロ化アルドール反応に適用したところ、良好な選択性を得ることができた。 3.アルデヒド・エナミン・トリクロロシランの三成分からの新しいタンデム反応により、γ-アミノアルコール構造が一挙に構築できることを前年度見出しているが、この反応を用いて、中枢神経系の機能研究に用いられるγ-アミノアルコールを一工程で得ることに成功した。現在、本反応の概念を他の有用構造の構築に展開している。 4.昨年度見出したキラルなヒドロキシカルボン酸よるボロン酸の活性化についてさらに検討を続け結果、触媒の構造用件、反応機構、他の反応への展開に関する知見を得ることができた。
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Research Products
(21 results)