2010 Fiscal Year Annual Research Report
複素環の特性を利用した環境調和型有機合成反応の開発と応用
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20590025
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
川崎 郁勇 武庫川女子大学, 薬学部, 准教授 (00234055)
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Keywords | 有機合成 / 複素環 / 不斉還元 / リサイクル / イオン性化合物 / イオン液体 / リガンド / 触媒 |
Research Abstract |
複素環の特性を利用して、環境調和型の有機合成反応を開発して、その方法を薬学的有用分子の効率的な合成法へ応用することを目的として本研究課題を企画した。 当該年度(平成21年度)に実施した研究成果について以下(1)~(2)にまとめる。 1 新規キラルイオン性リガンドの開発および、それを用いるリサイクル反応系を開発し、その効率的な実施のために、イオン性リガンドの構造と触媒活性の相関研究を行った。 すなわち、種々のキラルイオン性リガンドを合成し、それらの触媒活性を評価した。エナンチオ選択性発現に必須である不斉源に1,2-ジフェニルエチレンジアミン部を、不斉源とイオン構造部をつなぐリンカーに、直鎖アルキルオキシフェニルスルポニル基を用い、イオン構造部を変化させた種々のイオン性リガンドを合成した。その結果、イオン構造部に、含窒素複素芳香環化合物である1-メチルイミダゾールより導かれるイミダゾリウム構造を用いると、触媒活性が最も良好であり、不斉水素移動型還元反応において90%以上の鏡像体過剰率が実現できた。また、本反応系は5回の繰り返し使用においても、ごくわずかの反応活性の減弱であった。 2 上記反応系を薬学的有用分子である医薬品の光学活性体合成に応用した。 すなわち、開発した繰り返し使用可能な不斉水素移動型還元反応をカテコールアミン関連医薬品である喘息治療薬の光学活性化合物合成の重要鍵中間体の合成に応用した。その結果、喘息治療薬テルブタリンの光学活性体の合成中間体、および光学活性テルブタリンを90%eeの光学純度で合成することできた。テルブタリンは一方の光学異性体が薬理活性本体であるが、現在はラセミ体で臨床使用されており、本研究実績は投与量の半減化に寄与できる。
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Research Products
(9 results)