2010 Fiscal Year Annual Research Report
疎水相互作用を取り入れた薬物分子-タンパク質の相互作用の理論・計算解析と応用
Project/Area Number |
20590036
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中馬 寛 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20304545)
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Keywords | 定量的構造活性相関 / 自由エネルギーの代表項による結合エネルギーの線形表現 / フラグメント型非経験的分子軌道法 / 一般化Born法 / 疎水相互作用エネルギー / 炭酸脱水酵素-阻害剤 / ノイラミニダーゼー抗インフルエンザ剤 / フラボノイド |
Research Abstract |
前年度までの成果に基づき、阻害剤とタンパク質の複合体についてフラグメント型非経験的分子軌道法による静電・水素結合相互作用エネルギー計算と一般Born法による疎水相互作用・水和エネルギー計算から薬物-受容体相互作用エネルギーを表す一般理論モデル式(LERE,Linear Expression by Representative Energy terms)を提案した。LERE法では薬物-受容体相互作用自由エネルギーにおけるエントロピー・エンタルピー変化について補償則を仮定し、また静電・水素結合相互作用エネルギー項や疎水相互作用・水和エネルギー項を代表項とし、全自由エネルギー変化に関与する他のエネルギー項は代表項の総和に線形と仮定する。LERE法を炭酸脱水酵素-ベンゼンスルフォンアミド誘導体およびインフルエンザ・ノイラミニダーゼ-タミフルアナログについて適用し、従来の古典的定量的構造活性相関解析法に比較を行い本方法が電子・原子レベルでの定量的な情報を与えるなどの優位性を検証・確認した。 さらに、阻害剤が同族体の場合においては、静電相互作用エネルギー変化と水和自由エネルギー変化の間に一般に逆相関が成立することなど一連の阻害剤とそれらの標的タンパク質間相互作用エネルギーの内訳にいくつかの線形関係が存在することが古典的定量的構造活性相関の成立基盤であることを確認した。この他に、フェノール置換体のラジカル引き抜き速度が、まったく異なる化合物系列の溶媒和分解の反応速度と線形になるかを明らかにし、この結果に基づき、フラボノイドに関する新しい定量的構造活性相関を行った。
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Research Products
(20 results)