2010 Fiscal Year Annual Research Report
科学的根拠に基づくデザイナードラッグ等違法ドラッグの乱用防止に関する研究
Project/Area Number |
20590038
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
豊岡 利正 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40183496)
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Keywords | 違法ドラッグ / 光学異性体分析 / キラル誘導体化 / 蛍光分析 / 質量分析 / 液体クロマトグラフィー |
Research Abstract |
深刻化する違法ドラッグ問題に対応するため、厚生労働省は、平成19年4月より興奮等の作用を有し蓋然性が高く、保健衛生上の危害が発生するおそれがある薬物や植物を「指定薬物」として指定し、医療等の用途以外の製造、輸入、販売等を禁止することになった。現在、数十種類の化学物質と1種の植物が「指定薬物」として指定されているが、順次、様々な化合物が指定薬物として追加されている。本研究は、科学的なデータに基づく「違法ドラッグ」の蔓延防止を目的とした分析および代謝に関する研究を3年で実施している。違法ドラッグの構造は、フェネチルアミン系、トリプタミン系、ピペラジン系に大別される。このうちフェネチルアミン系指定薬物には、構造中に不斉炭素を有する光学異性体が多く存在している。従来の分析法としては、液体クロマトグラフィー紫外吸光度計(HPLC-UV)が報告されているが、十分な感度と選択性が得られず、生体試料へは適用されていない。また、これまでの研究では、それぞれの光学異性体のエナンチオマーを分別して高感度に定量する方法は報告されていない。違法ドラッグ成分の分析を行う際、流通している違法ドラッグ中に含まれる不純物や光学異性体の存在比を測定することにより、その製造方法や製造元・入手経路などを解明する手がかりが得られることが期待される。また,その異性体間で薬理学的活性が大きく異なることからも、光学異性体の分離を伴った分析技術の開発は重要性と考えられる。そこで、本研究ではフェネチルアミン系乱用薬物を中心とする違法ドラッグ成分のキラル誘導体化法を利用した光学異性体分離法および迅速かつ簡便な一斉分析法の開発を実施した。キラル誘導体化試薬(R)-(-)-DBD-Py-NCSと超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)を用いて検討を行ったところ、12種類のフェネチルアミン系違法ドラッグ成分の光学異性体が良好に分離された。さらに,過去に国内の違法ドラッグ市場において流通していた製品中の分析に適用したところ、フェネチルアミン系乱用薬物成分の各エナンチオマー成分を完全に分離定量できた。
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Research Products
(4 results)