2008 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体比プロファイルによる大麻の異同識別に関する研究
Project/Area Number |
20590051
|
Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
岩田 祐子 National Research Institute of Police Science, 法科学第三部, 主任研究官 (20356190)
|
Keywords | 大麻 / 異同識別 / ガスクロマトグラフィー / 安定同位体比質量分析 |
Research Abstract |
大麻は、我が国では覚せい剤に次いで押収量が多い乱用薬物である。乱用薬物の大部分は、国外から密輸されたものであり、取締り上、その密輸ルート及び国内での流通経路の解明が重要視されている。捜査部門の流通経路解明の科学的な支援としては、押収された試料同士が異なるか同一かを判断する"異同識別"を行い、押収された試料間の関連性を明らかにすることが有用である。そこで、主に、地球宇宙化学分野や環境科学分野で、物質の移動を明らかにするトレーサーとして用いられてきた安定同位体比に着目し、大麻抽出物についてガスクロマトグラフィー-安定同位体比質量分析(GC-IRMS)を行い、GCで分離されたピークごとの"GC-IRMSプロファイル"を得て、大麻の異同識別を行うことを目指す。 初年度は、GC-IRMSを行う前検討として、測定が比較的容易である元素分析(EA)-IRMSを用いて、乾燥大麻の植物体そのものについて、分析を行った。茎、葉、種子のついているものは種子に分け、凍結・粉砕を行った試料につき、元素分析(EA)-IRMSで、炭素及び窒素安定同位体比(δ^<13>C及びδ^<15>N値)を測定した。その結果、部位による違いはほとんど見られなかったことから、次年度以降、葉を試料として用いることに決定した。併せてGC-IRMSを行うためのワーキングスタンダード(WS)とするため、いくつかの化合物についてδ値を決定し、GC-IRMSに適切なものを探索した。その結果、炭素については、C14,C16,C20の炭化水素と大麻に含有するβ-caryophylleneを、窒素についてはsalicylamideとtheophyline及び大麻に含有するhistidineを次年度以降のGC-IRMSで用いることとした。δ値を決定した化合物については、大麻以外の乱用薬物の測定のWSとしても使用することが可能であった。
|
Research Products
(1 results)
-
[Journal Article] Evaluation method for linking methamphetamine seizures using stable carbon and nitrogen isotopic compositions : A complementary study with impurity profiling2008
Author(s)
Iwata, Y. T., Kuwayama, K., Tsujikawa, K., Miyaguchi, H., Kanamori, T., Inoue, H.
-
Journal Title
Rapid Commun. Mass Spectrom. 22
Pages: 3816-3822
Peer Reviewed