2009 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体比プロファイルによる大麻の異同識別に関する研究
Project/Area Number |
20590051
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
岩田 祐子 National Research Institute of Police Science, 法科学第三部, 主任研究官 (20356190)
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Keywords | 大麻 / 異同識別 / ガスクロマトグラフィー / 安定同位体比質量分析 |
Research Abstract |
大麻は、我が国では覚せい剤に次いで押収量が多い乱用薬物である。乱用薬物の大部分は、国外から密輸されたものであり、取締り上、その密輸ルート及び国内での流通経路の解明が重要視されている。薬物捜査部門の流通経路解明の科学的な支援としては、押収された試料同士が異なるか同一かを判断する"異同識別"を行い、押収された試料間の関連性を明らかにすることが有用である。そこで、大麻抽出物についてガスクロマトグラフィー-安定同位体比質量分析(GC-RMS)を行い、GCで分離されたピークごとの"GC-IRMSプロファイル"を得て、大麻の異同識別を行うことを目指す。 今年度は、乾燥大麻のGC-IRMSによる炭素安定同位体比(δ^<13>C)分析の検討を行った。まず、大麻の主成分の一つであるcannabinol(CBN)を多く含有する乾燥大麻を凍結粉砕した後、抽出溶媒により抽出を行い、GC-IRMSによりδ^<13>Cを測定し、安定した値を示すピーク強度(適正濃度)範囲を確認した。次に、同じ乾燥大麻の凍結粉砕物を用いて抽出溶媒の量、抽出回数を変えて抽出し、GC-RMSによりδ^<13>Cの測定を行い、同位体効果の無い抽出法を確立した。数種の乾燥大麻について、抽出操作を行い、GC-MS及びGC-RMSによる測定を行ったところ、GC-IRMS測定が可能な量検出できた化合物は、CBNに加えてtetrahydrocannabinol(THC)及びcannabidiol(CBD)の3種類であった。THCとCBDを多く含有する乾燥大麻を抽出し、安定な値を示すピーク強度範囲を確認した。 乾燥大麻抽出物について、THC, CBD, CBNがそれぞれ適正濃度になるように希釈を行い、GC-RMSによりδ^<13>Cの測定を行った。化合物ごとのδ^<13>Cプロファイルにより、異なった被疑者から得られた資料同士の異同識別を行うことが可能であった。
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Research Products
(1 results)