2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアミン輸送蛋白質及びNMDA受容体の分子解剖と活性構造相関
Project/Area Number |
20590066
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
柏木 敬子 Chiba Institute of Science, 薬学部, 教授 (80169424)
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Keywords | ポリアミン / スペルミジン / スペルミン / ポリアミン輸送 / NMDA受容体 / 排出蛋白質 / R domain / イフェンプロジル |
Research Abstract |
1.酵母で5種のポリアミン排出蛋白質(TPO1〜5)を同定したが、大腸菌では未同定であった。大腸菌でこれまで33種の薬物排出蛋白質が同定されているが、この中でポリアミンのうちのスペルミジンを排出できる蛋白質が存在するかどうか検討したところ、MdtJI蛋白質がスペルミジンを排出することが明らかとなった。また、mdtJI mRNAはスペルミジンにより発現量が上昇することが明らかとなった。 2.脳機能に重要な役割を果たすグルタミン酸受容体の一種であるNMDA受容体は、スペルミンにより脱分極時の活性促進、静止時のチャネルブロック作用と二面的に調節されている。チャネル形成領域のどの部分が活性促進及びチャネルブロック作用に関わっているかを、部位特異的変位導入により100種以上の変異体を作製し検討した。その結果、スペルミンによる活性促進にはNR1受容体のM2ループ及びM3領域並びにNR2受容体のM3領域が関与していた。また、チャネルブロック作用には、NR2受容体のM2ループ及びM1、M3領域が主として関与していた。すなわち、NR1とNR2受容体はチャネル中で非対称構造をとっていることが明らかとなった。 3.NMDA受容体の活性化に関わるスペルミン結合部位は、N末端側に存在している。この部位を調節領域(R-domain)と命名し、この約350アミノ酸残基から成るR-domainを大腸菌で発現させ、3種の精製R-domain(NR1-R、NR2A-R及びNR2B-R)を得た。これらR-domainへのスペルミン、脳機能改善薬イフェンプロジルの結合能を測定した。その結果、スペルミンはNR1-R、NR2A-R及びNR2B-Rに結合し、その強さはNR1-R>NR2B-R>NR2A-Rであった。イフェンプロジルはNR1-RとNR2B-Rに結合したが、NR2A-Rには結合しなかった。
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Research Products
(7 results)