2009 Fiscal Year Annual Research Report
セレン化合物による2型糖尿病の発症予防とその作用機序
Project/Area Number |
20590128
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
上野 仁 Setsunan University, 薬学部, 教授 (20176621)
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Keywords | セレン / 糖尿病 / セレノメチオニン / 耐糖能 / インスリン / 血糖値 / ストレプトゾトシン / ニコチンアミド |
Research Abstract |
亜セレン酸は、自然発症2型糖尿病モデルであるNSYマウスの耐糖能改善効果を有することが昨年度の研究において明らかになった。本年度は、さらなる耐糖能改善効果をもつセレンの化学形を検索するために、NSYマウスよりも短期間で2型糖尿病に類似した病態を発症しうるモデルマウスの構築に関する検討をまず行った。C57BL/6マウスおよびICRマウスの2種類のマウスを用い、通常飼料による飼育下で低用量(100mg/kg)のストレプトゾトシン(STZ)と、その標的組織である膵島β細胞で枯渇しやすいニコチンアミド(NA;120mg/kg)を2回併用投与し、5週間にわたる耐糖能低下に対するマウスの系統差について検討した。その結果、ICRマウスの方がC57BL/6マウスよりも血糖値が上昇しやすく、このときのICRマウスの血漿中インスリン濃度はC57BL/6マウスの約1/5の値であったため、ICRマウスによる短期誘発糖尿病マウスモデルが作製できた。そこで、従来のセレン欠乏飼料を低sucrose含有量のものに改良するとともに、セレン欠乏飼料による飼育条件下で亜セレン酸、メチルセレニン酸またはセレノメチオニン(SeMet)を、栄養生理レベルに相当する158μg(2μmol)Se/kgの割合で1日1回強制経口投与し、セレン状態を把握するために投与期間終了後の膵臓中セレン含有量を測定するとともに、各セレン化合物の投与期間中における血糖値および投与期間終了後の糖負荷後血糖値を指標にして、耐糖能低下に対するこれら3種のセレン化合物の影響を検討した。その結果、SeMetが3種のセレン化合物のうち、膵臓におけるセレン状態を最も高めるとともに、この短期誘発糖尿病マウスモデルの随時血糖値および糖負荷後血糖値を最も有意に低下させることが認められた。
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Research Products
(2 results)