2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590139
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 カオル Chiba University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (30255864)
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Keywords | P-糖タンパク質 / トランスポーター / 誘導 / 転写調節 / 核内レセプター |
Research Abstract |
本研究では、抗結核薬リファンピシン(RIF)によるP-糖タンパク質(MDRl)の小腸特異的な誘導機構を明らかにすることを目的とした。平成20年度は、RIFによりMDRlの発現が誘導される細胞株を明らかにするため、ヒト大腸ガン由来細胞(Cac0-2,LS174T,LS180)およびヒト肝ガン由来細胞(HepG2,FLC,HuH-7)にRIFを曝露し、RT-PCRによりMDRl mRNA発現量の変化を調べた。検討した6種の細胞株のうち、LS180細胞およびLS174T細胞においてのみRIFによるMDRl mRNA発現量の増加が認められた。一方、RIFによるCYP3A4mRNA発現量の増加は、内在性pregnane X receptor(PXR)の発現量が著しく低いCac0-2細胞を除いたすべての細胞株で認められた。つぎに、MDRl遺伝子5'上流域のPXR結合嶺域を含むdistal regulatory cluster(-7970/-7011)をルシフェラーゼレポーターベクターに組み込み、HepG2細胞およびLS180細胞にPXR発現ベクターとともに発現させたところ、RIFによるレポーター活性の上昇はすべての細胞において認められた。このレポーターベクターからPXR結合嶺域より下流側の配列を欠失させたところ、LS180細胞においてのみRIFによるレポーター活性の上昇が消失した。これらの結果より、MDRlの小腸特異的な誘導の解析には、LS180細胞あるいはLS174T細胞が適していること、およびMDRl遺伝子の小腸特異的なRIFによる転写活性化には、PXR結合領域だけでなくその下流に存在するdistal regulatory cluster内の配列が重要な役割を果たしていることが示唆された。
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