2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590139
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 カオル 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (30255864)
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Keywords | P-糖タンパク質 / トランスポーター / 誘導 / 転写調節 / 核内レセプター |
Research Abstract |
本研究では、抗結核薬リファンピシン(RIF)によるP-糖タンパク質(MDR1)の小腸特異的な誘導機構を明らかにすることを目的とした。平成20年度の検討では、MDR1遺伝子の小腸特異的なRIFによる転写活性化には、pregnane X receptor(PXR)結合領域だけでなくその下流に存在するdistal regulatory cluster内の配列が重要な役割を果たしていることが示唆された。さらに、平成21年度の検討では、RIFによるMDR1遺伝子の小腸特異的な転写活性化には、PXRだけでなく肝に発現せずに腸管に発現する転写因子epithelial specific ets factor 3(ESE-3)によるDR4配列を介したメカニズムが関与することが示唆された。そこで、平成22年度は、RIF以外のPXR活性化剤によるMDR1誘導作用についてESE-3を内在的に発現しているLS180細胞と発現していないHepG2細胞で比較した。SR12813およびハイパーフォリンについてはRIFと同様にMDR1遺伝子の転写活性化はESE-3を発現していないHepG2細胞では認められず、ESE-3を一過性発現させることで転写活性化作用が認められた。さらに、ESE-3を発現しているLS180細胞について、21種のPXR活性化剤によるMDR1 mRNA発現量の誘導倍率とMPR1遺伝子の転写活性化率との関係を調べたところ、高い正の相関(r=0.758,p<0.001)が得られた。これらの結果から、LS180細胞は小腸特異的なMDR1の誘導機構に関与する転写因子ESE-3を発現した細胞であり、小腸特異的な誘導機構を保持したin vitroハイスループットスクリーニング系としてMDR1の誘導予測に有用であることが示唆された。
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