2008 Fiscal Year Annual Research Report
体性感覚刺激による脳神経伝達機能変化と情動・自律反応相関
Project/Area Number |
20590216
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
黒澤 美枝子 International University of Health and Welfare, 薬学部, 教授 (30178131)
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Keywords | 触刺激 / 神経伝達物質 / 情動 / 自律反応 / ドーパミン / 側坐核 |
Research Abstract |
本研究は、触刺激を中心に体性感覚刺激が脳内神経伝達機能に与える影響とその時の情動行動並びに自律機能の変化を動物で明らかにすることを目的としている。昨年度は、快情動の発生に深く関連することが知られている“側坐核でのドーパミン放出"に着目し、触刺激の影響を検討した。その結果、皮膚への触刺激により側坐核ドーパミン放出が増加することが明らかとなった。ただし、その増加はドーパミン放出を測定した側坐核と反対側の皮膚に刺激を加えた場合にのみ認められた。また、その増加は意識下の動物のみならず、麻酔下の動物においても認められた。さらに側坐核のドーパミンニューロンは腹側被蓋野に起始することが解剖学的に知られているので、腹側被蓋野を電気的に刺激して側坐核でのドーパミン放出が増加することを確認すると共に、腹側被蓋野を破壊した後、触刺激による側坐核ドーパミン放出反応が消失することを確認した。以上の結果より、皮膚に加えた触刺激の情報は腹側被蓋野に伝えられ、そこから起始するドーパミンニューロンを興奮させる結果、側坐核でのドーパミン放出を増加させることが明らかとなった。これらの増加反応は情動の影響のない麻酔下の動物でも認められたことより、情動によって2次的に起きた反応ではなく、体性感覚刺激による直接的な反応と考えられた。体表からの触刺激によって、不安や抑うつ感の軽減、リラックス効果などが誘発されることが知られているが、その脳内機序は不明である。本研究により、その脳内機序の一部が明らかにされたと考えられる。すなわち、本実験は昔から雷われる“手当て"、つまり皮膚上からの刺激の有用性について、科学的証拠の1つを示したものと考えられる。
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Research Products
(6 results)