2009 Fiscal Year Annual Research Report
体内時計中枢の細胞間同期機構-視交叉上核の細胞多様性をふまえて-
Project/Area Number |
20590240
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
重吉 康史 Kinki University, 医学部, 教授 (20275192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 厚子 近畿大学, 医学部, 准教授 (30077664)
長野 護 近畿大学, 医学部, 講師 (80155960)
鯉沼 聡 近畿大学, 医学部, 助教 (10340770)
筋野 貢 近畿大学, 医学部, 助教 (30460843)
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Keywords | 視交叉上核 / サーカディアンリズム / 体内時計 / 概日リズム / 同期 |
Research Abstract |
体内時計中枢の内部で各細胞を同期している分子を探索するために、視交叉上核に特異的に発現する遺伝子および、視交叉上核の小領域である腹外側部と背内側部におのおの限局する発現遺伝子の包括的遺伝子発現解析をDNA microarrayを用いて行った。それによって、P<0.0001の条件にて約2000個の遺伝子を抽出した。これらの遺伝子についてDNA microarrayデータベースを利用し、また、リガンドと受容体の組み合わせを探索することによって、視交叉上核の背内側部と腹外側部におのおの存在する組み合わせを選択した。その組み合わせの中からVIP(vasoactive intestinal peptide)とその受容体であるVpac2の組み合わせに着目した。Vpac2のノックアウトマウスにおいて、概日リズムの振幅が低下することが報告されており、視交叉上核の細胞間同期に関与していると考えたためである。in situ hybridizationによって、Vpac2受容体が背内側部に、VIPが腹外側部にいずれも密に局在していることがあきらかになった。さらに、Per2::dlucラットの視交叉上核スライス培養を用いてVIPの薬剤効果の検討を行った。VIPを背内側部を切り取って、投与すると、10時間以上の位相変位を作ることができた。すなわち、VIPは背内側部の振動細胞に作用し、位相変位を生じることによって、同期を達成していると考えられた。また、成体から視交叉上核を取り出し、スライス培養を行い、CCDカメラによって、一細胞の振動を一週間以上検出することに成功した。さらに、振動細胞ごとの周期を検討している。これまでのところ、周期解析において、背内側部と腹外側部がその周期長において明瞭な相違を持つことが明らかになった。
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