2010 Fiscal Year Annual Research Report
心血管系におけるニトロ化環状グアノシン一リン酸の機能解析と創薬への応用
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20590255
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
徳冨 芳子 尚絅大学, 生活科学部, 教授 (90253723)
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Keywords | cGMP / eNOS / 心血管系 / NO |
Research Abstract |
生体内で一酸化窒素(NO)産生に依存して生成されるニトロ化環状グアノシン一リン酸(8-ニトロcGMP)の心血管系における生理機能、及び病態との関連を明らかするために、8-ニトロcGMPによる血管の機能制御について、in vitroおよびin vivoでの検討を以下の通り、行った。 マウス大動脈を用いたマグヌス実験により、フェニレフリン収縮血管標本に対し、8-ニトロcGMPは濃度依存性に弛緩反応のみならず収縮増強も示した。この収縮増強には、血管内皮由来のNO合成酵素(eNOS)アンカップリングによって生じたスーパーオキサイドが関与しており、8-ニトロcGMPがレドックス活性を有することが示唆された。さらに、eNOS欠損マウスに8-ニトロcGMPを皮下から2週間投与することで、収縮期血圧が低下していたことから、vitroの結果と同様に、eNOSに依存する収縮増強が欠損マウスでは起こらなくなり、血管の弛緩が優位になっていることが示された。また、2型糖尿病モデルマウス(db/dbマウス)由来の大動脈を用いたマグヌス実験により、フェニレフリン収縮に対し、8-ニトロcGMPは濃度依存性に弛緩反応のみ示し、収縮増強は認められなかった。以上の結果より、血管内皮機能障害の改善に8-ニトロcGMPが寄与する可能性を示し、糖尿病における合併症進展機構と8-ニトロcGMPとの新たな関連性の解明の糸口を見い出し、論文及び国際学会にて発表した。
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Research Products
(7 results)