2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷応答におけるTIP60ヒストンアセチル化酵素複合体のダイナミクス
Project/Area Number |
20590272
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井倉 毅 京都大学, 放射線生物研究センター, 准教授 (70335686)
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Keywords | TIP60ヒストンアセチル化酵素複合体 / ヒストンH2AX / ユビキチン結合酵素UBC13 / DNA損傷応答シグナル / ヒストンのアセチル化 / ブロモドメイン蛋白質 / ヒストンシャペロン / 放射線感受性 |
Research Abstract |
我々は、TIP60ヒストンアセチル化酵素複合体が、ユビキチン結合酵素UBC13と協調的に働きながらヒストンH2AXをアセチル化およびユビキチン化し、ヒストンH2AXを損傷クロマチンから放出することを見出している。このH2AXのクロマチンからの放出は、DNA損傷応答シグナルの活性化に関与することが示されつつあるが、その分子機構は明らかにされていない。本研究課題では、TIP60ヒストンアセチル化酵素複合体によるH2AXのアセチル化のユビキチン化を介したDNA損傷応答シグナルの活性化機構を解明することを目的とする。ヒストンのアセチル化は、ブロモドメイン蛋白質によって認識されることから、H2AXのアセチル化の分子機構を探る上でH2AXのアセチル化に結合するブロモドメイン蛋白質の同定が重要と考え、その因子の同定を試みた。その結果、TIP60ヒストンアセチル化酵素複合体の構成因子としてブロモドメイン蛋白質p120がDNA損傷依存的にヒストンH2AX複合体に含まれることを明らかにした。我々は、p120ノックダウン細胞を作成し、このノックダウン細胞が放射線感受性を示すこと、さらにこの細胞ではユビキチン化酵素UBC13の損傷クロマチンへの誘導が阻害されることを生化学的に明らかにした。またp120蛋白質のブロモドメインの組換え蛋白質を作製し、H2AXのアセチル化ペプチドとの結合実験を行い、p120が直接H2AXのアセチル化に結合することを明らかにした。H2AXのクロマチンからの放出は、ヒストンシャペロンによっても制御されることを我々は示しているが、今後は、p120とこのヒストンシャペロンとの関係を明らかにすることにより、H2AXのアセチル化を介したクロマチンからの放出の分子機構とその意義を明らかにしていきたい。
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Research Products
(7 results)