2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによって生じるD-アスパラギン酸含有蛋白質の動態とその代謝機構の研究
Project/Area Number |
20590278
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木野内 忠稔 京都大学, 原子炉実験所, 講師 (90301457)
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Keywords | フォールデング病 / 酸化ストレス / D-アミノ酸 / タンパク質分解酵素 / ラセミ化 / アフリカツメガエル / 老化 / エンドペプチダーゼ |
Research Abstract |
我々が哺乳類より発見したD-アスパラギン酸エンドペプチダーゼ(D-aspartyl endopeptidase:DAEP)は、蛋白質中のD-Asp残基を特異的に認識し、そのC末端側で分解する性質を持つ。従って、哺乳類におけるDAEPの生理的意義は、酸化ストレスによって変性したD-Asp含蛋白質に対する品質管理であると考えているが、活性の著しく高い臓器(肝臓、腎臓など)がある一方で、骨格筋など全く活性を検出できない臓器もあることから、D-Asp含蛋白質代謝系の全容を解明するには至っていない。そこで、DAEP本来の生理機構を理解するためには、より原始的な構造を持つホモログを解析することが近道であると考え、様々な生物種からDAEP活性を探索した。その結果、魚類以上の脊椎動物にその活性を検出している。アフリカツメガエルでは、DAEP活性の組織分布が哺乳類と大きく異なり、特に卵での活性が高いことが特徴である。産卵直後のアフリカツメガエル卵を回収し、DAEPの精製を行い、その基本的な性質について検討した結果、哺乳類DAEPと同様にミトコンドリア膜に局在し、分子量50万を越える高分子複合体であることが明らかになった。また、哺乳類DAEPに特異的に結合し、その活性を阻害する合成阻害剤:Benzoyl-Arg-His-[D-Asp]-CH_2Clは、アフリカツメガエルDAEPも強く阻害した。したがって、アフリカツメガエル卵におけるDAEPは、哺乳類DAEPのホモログであると考えている。この発見は、初期発生におけるDAEPの新たな生理機能を示唆するものであることから、その生理的な基質を同定することによって、未知なるバイオシステムの解明を目指している。
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