2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌浸潤並びに血管新生に共通に関わる分子装置の解析及び阻害剤開発に関する研究
Project/Area Number |
20590293
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
橋本 あり 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (60390803)
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Keywords | 血管新生 / 癌浸潤 / Arf6 / AMAP1 / ArfGEF / 乳癌 / チロシンリン酸化 / 乳腺 |
Research Abstract |
本研究は、乳癌細胞の浸潤に重要な役割を担っているGEP100-Arf6-AMAP1シグナルが血管新生においても重要な役割を担う共通のシグナルであること、また、どのような分子機序で血管新生に関与しているのかを明らかにし、より効果的な癌浸潤阻害剤の開発に繋がる知見を提示することを目的としている。癌浸潤と血管新生とに共通に用いられる分子装置を同定することで、それらの蛋白質複合体形成のインターフェース構造に基づく癌細胞の浸潤・転移の特異的阻害剤の研究・開発を進めている。本研究期間では、以下の研究成果を得た。 1.血管新生におけるArf6、AMAP1、GEP100の機能解析 乳癌細胞に浸潤に重要な役割を担うGEP100-Arf6-AMAP1シグナルは、VEGF刺激により誘導される血管新生過程で生じる血管内皮細胞の透過性に関与し、透過性制御に関わる接着分子VE-cadherinの細胞動態に関与することが分かった。 2.臨床標本を用いた妥当性の検討 乳癌の再発症例の組織切片を用いた病理学的解析から、GEP100は、乳癌の悪性度と相関のあるHER2陽性組織において発現が高い結果が得られ、再発のバイオマーカーになる可能性が示唆された。 3.血管新生に必要な蛋白質複合体の構造解析と創薬分子標的の提示 GEP100はPHドメインを介して、リン酸化EGFR及びリン酸化VEGFR2と複合体を形成する。Oxford大学との共同研究で、GEP100のPHドメインの構造解析を行った。また、Grb2の結合を阻害する低分子化合物TB03は、GEP100とEGFR及びGEP100とVEGFR2の結合を阻害した。これらのことから、GEP100の結合を特異的に阻害する、癌浸潤と血管新生を阻害するリード化合物の候補を提示し、構造解析の結果と合わせて阻害剤の開発に貢献出来る知見を得た。
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Research Products
(3 results)