2010 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン産生膵β細胞の発生・分化、機能における糖転移酵素EXTL3の関与
Project/Area Number |
20590312
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
那谷 耕司 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (90202233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90270834)
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Keywords | 膵β細胞 / 糖鎖 / ヘパラン硫酸 / 糖転移酵素 / ノックアウトマウス / 糖尿病 / 膵ランゲルハンス島 / EXTL3 |
Research Abstract |
本研究計画では,ヘパラン硫酸の生合成に関与する糖転移酵素EXTL3遺伝子を膵β細胞特異的に欠失したマウスを作製し,膵β細胞の発生・分化,機能におけるEXTL3の役割を明らかにするとともに、膵β細胞特異的EXTL3欠損マウスを糖尿病モデル動物として開発・利用する。 当該年度では以下の成果が得られた。 ・膵β細胞特異的EXTL3欠損マウスの膵β細胞機能の解析 膵β細胞特異的EXTL3欠損マウスの血糖値,血中インスリン値について週齢を追って調べたところ,随時血糖値・インスリン値,空腹時血糖値・インスリン値ともにコントロールのマウスと比較して有意な差は認められなかった。一方,8-9週齢のマウスを用いて耐糖能試験を行ったところ,膵β細胞特異的EXTL3欠損マウスではインスリン抵抗性については異常が認められなかったが,インスリン分泌が低下しており,耐糖能異常が認められた。また膵β細胞特異的EXTL3欠損マウスから単離したランゲルハンス島では,グルコース刺激,KCl刺激のどちらにおいても,インスリン分泌の低下が認められた。 平成21年度までの研究で,膵β細胞特異的EXTL3欠損マウスでは膵β細胞の増殖能の低下によりランゲルハンス島あたりのβ細胞の比率が有意に減少しており,ランゲルハンス島に特徴的なマントル・コア構造が認められなかったことから,EXTL3が出生後のβ細胞増殖に重要な役割を果たしていることが示唆されている。今年度の結果から,さらにEXTL3が膵β細胞のインスリン分泌機能においても重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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