2008 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質相互作用解析による癌抑制遺伝子BRCA1の細胞周期制御分子機構の研究
Project/Area Number |
20590318
|
Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
呉 文文 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 助教 (10434408)
|
Keywords | BRCAI / 細胞周期 / 乳癌 / ユビキチン化 / DNA障害 |
Research Abstract |
本年度の研究内容 1.各細胞周期におけるBRCA1の結合蛋白質の検索した。 2.合成期にBRCA1と特異的結合するHERC2蛋白はBRCA1のユビキチンリガーゼであることを同定した。 3.さらに、HERC2とBRCA1の結合の生物学的機能解析を行った。 本年度の研究結果 細胞周期を通して、BRCA1の蛋白複合体を網羅的に解析した。そこでHERC2がS期特異的にBRCA1と結合し、分裂期ではBRCA1から迅速解離する現象を見出した。 HERC2はHECTとRLDドメインを持ち、ユビキチンリガーゼの構造特性を有する。その構造特性から、HERC2はユビキチンリガーゼE3活性を有すること、核と細胞質間のシャトルタンパク質であることを明らかにした。 HERC2のHECTドメインはBRCA1の分解領城とダイレクトで結合し、BRCA1をユビキチン化する。HBRC2はBRCA1のユビキチンリガーゼであることを明らかにした。 BRCA1はS期foci形成する。BARD1から離脱するとなると、HERC2と結合して、ユビキチン化を受け、分解される。ただし、BARD1から離脱するBRCA1の量が少なく、S期ではHERC2が正常な細胞周期の進行に顕著な影響を与えない。 HERC2はBARD1から離脱したBRCA1を不安定させて、G2/Mチェックポイント機構を機能停止状態にする役割を果たしている。HERC2はBRCA1が司っている細胞周期のG2/Mチェックポイント制御機構には重要な役割は担い、BRCA1の細胞周期調節機構には必須因子であることを明らかにした。 研究結果の意義 癌細胞のDNA修復機構はG2/Mチェックポイントしかを持ってない場合がほとんどで、G2/Mチェックポイント機構をターゲットした抗がん剤であれば、癌細胞唯一のDNA修復機構が破壊され、DNA傷害剤と併用すれば、低用量でも十分な抗がん効果が期待できる。BRCA1はG2/Mチェックポイントの主な役割を担っているが、その分子機構はまだ解明されていない。この研究により、BRCA1のG2/Mチェックポイント制御分子機構がより明白となり、これをターゲットとする新規抗癌剤開発に新しいアプローチするのに理論的根拠を提供できる。
|
Research Products
(2 results)