2010 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス関連遺伝子Par-4による子宮内膜発癌抑制機構の解明と治療への展開
Project/Area Number |
20590352
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
三枝 信 北里大学, 医学部, 教授 (00265711)
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Keywords | 子宮内膜癌 / Par4 / bc1-2 / p21WAF1 / 細胞増殖 / アポトーシス |
Research Abstract |
最終年度である平成22年度は、前年度の結果に基づいて、Par4遺伝子の発現調節機構とその機能解析を子宮内膜癌細胞で行い、以下の結果を得た。 1)Par4遺伝子制御機構:子宮内膜癌細胞に外因性にNF-kB/p65を過剰発現させると、内因性Par4発現が蛋白及びmRNAレベルで増加した。そこで、Par4遺伝子プロモーター領域を段階的に欠落したconstructsを作製し、NF-kB/p65に対する反応性を検索したところ、-2805bpから-1448bpの領域にその反応配列の存在が疑われ、3カ所にNF-kB/p65結合配列(GGRNNYYCC)を認めた。これらの領域に変異を加えると、Par4プロモーターのNF-kB/p65に対する反応性示著明に減弱した。また、ChIP assayでこれらの領域にNF-kB/p65蛋白が結合することが確認でした。以上から、Par4遺伝子はNF-kB/p65により転写レベルで制御されることを明らかにした。 2)子宮内腰癌細胞の細胞周期をG1期で停止させると、Par4蛋白は核内に異常集積を示し、G2/M期で停止させるとcentrosomeに集積した。以上から、Par4発現およびその局在は細胞周期によっても変化し、細胞増殖抑制や細胞分裂に密に関与する可能性を得た。 3)子宮内膜癌細胞で、外因性にPar4遺伝子を過剰発現させると、プロモーター活性は変化することなしに内因性のbc1-2蛋白発現減少とp21WAF1蛋白発現増加が認められたことから、Par4による蛋白レベルでの改変が生じている可能性が考えられた。これらの分子の発現変化は、Par4遺伝子過剰発現による子宮内膜癌細胞のアポトーシス誘導や増殖抑制の原因と考えた。 以上の結果から、子宮内膜癌においてPar4遺伝子はNF-kB/p65シグナル系に属し、bc1-2やp21WAF1発現調節による増殖抑制やアポトーシス誘導を介して子宮内膜発癌に重要な役割を演じる可能性が示唆された。
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