2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔上皮内病変の診断と幹細胞研究における独自開発した組織Q-FISH法の応用
Project/Area Number |
20590378
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
相田 順子 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 研究員 (80425678)
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Keywords | テロメア / 老化 / 病理学 / 癌 / トランスレーショナルリサーチ / 組織幹細胞 |
Research Abstract |
従来前癌病変とされてきた口腔粘膜dysplasiaは、一部は既に癌として治療すべき病変であるとして注目されています。その客観的根拠を得る目的で、我々は独自に開発した組織Q-FISH法を用いて口腔正常粘膜および口腔上皮内病変(dysplasiaやCIS)のテロメア長を細胞種別に解析することにしました。 平成20年度は、まず(1)人体組織の入手・収集・保存を行ない、正常舌組織は約30例の検体を収集し、組織検定後に解析を行ないました。粘膜内病変は、連携研究者である埼玉がんセンター研究所出雲俊之研究員の蓄積する上皮内腫瘍病変パラフィンブロックから症例を収集し、組織検定後に解析を開始しました。組織FISH法によるテロメア長測定時のコントロールとなるセルブロックの作成を行ない、FISH時に検体と同一スライドガラス上に置き使用しました。また、FISH解析と同時にKi-67,p63,p27,CK13,17,19の免疫組織化学的検討を行ないました。 以上の結果、正常舌組織は免疫組織化学的に、幹細胞のマーカーとされるp63,p27の陽性所見が認められ、テロメア長については基底細胞層にテロメアの長い細胞が含まれていることから、舌粘膜上皮の幹細胞が基底層に存在することが示唆されました。CISおよびdysplasiaについては、一部解析を終了し、背景粘膜および病変部ではテロメアが短縮していました。また、各細胞群のテロメア長は正常と異なるパターンを示している可能性が示唆されました。 これらの結果の一部については、日本病理学会、日本臨床口腔病理学会、日本癌学会において発表し、正常粘膜のテロメア長と幹細胞の存在部位については英語論文の発表を行ないました。
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