2008 Fiscal Year Annual Research Report
血管炎発症機序の解明と新しい分子標的治療法および病態診断法の開発
Project/Area Number |
20590390
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石津 明洋 Hokkaido University, 大学院・保健科学研究院, 教授 (60321957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外丸 詩野 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20360901)
岩崎 沙理 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 助教 (60455631)
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Keywords | 血管炎 / 動物モデル / 自己免疫 / 血管内皮細胞 / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
血管炎を発症するenv-pXラットより、血管内皮細胞(EC)依存的に増殖亢進を示すT細胞株PC4を得た。PC4はオリゴクローナルなTh1タイプのCD4陽性T細胞で、血管炎惹起性T細胞であった。PC4にEC抽出物を添加することにより、PC4はクラスターを形成した。EC抽出物を膜分画と核分画に分けて採取した場合、PC4のクラスター形成は膜分画の添加に比べて核分画の添加で強く起こった。ECの核抽出物をHPLCにより分画し、PC4のクラスター反応を指標として各分画に含まれる蛋白質を同定することにより、PC4の認識抗原、すなわち血管炎の標的分子を明らかにすることができると考えられる。 また、MPO-ANCA関連血管炎患者の末梢血トランスクリプトーム解析を行い、治療予後を反映する74遺伝子を抽出した。その中には、寛解症例で治療後に発現が減少する遺伝子としてCharcot-Leydencrystal protein(CLC)をはじめとする59遺伝子が、治療後に発現が増加する遺伝子としてADAM28をはじめとする15遺伝子が含まれていた。患者群と健常者との間で末梢血の遺伝子発現を定量的に解析したところ、CLCには有意差は認めなかったが、ADAM28は治療前の患者群で発現の有意な減少が観察された。今後、ADAM28の発現低下とMPO-ANCA関連血管炎の病態の関連を検討する必要がある。次に、74遺伝子の中から有意性の高かった44遺伝子を選定し、Low Density Array(mA)を作製した。LDAの結果をもとに重回帰分析を行い、治療予後を最も正確に予測する組み合わせとして、16個の遺伝子を抽出した。治療前と治療開始後の早期におけるこれら16個の遺伝子の発現変化を測定することにより、治療予後を精度良く推定することができると考えられる。
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Research Products
(5 results)