2009 Fiscal Year Annual Research Report
血管炎発症機序の解明と新しい分子標的治療法および病態診断法の開発
Project/Area Number |
20590390
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石津 明洋 Hokkaido University, 大学院・保健科学研究院, 教授 (60321957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外丸 詩野 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20360901)
岩崎 沙理 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 客員研究員 (60455631)
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Keywords | 血管炎 / 動物モデル / 血管内皮細胞 / 自己反応性T細胞 / 胸腺 / トランスクリプトーム解析 |
Research Abstract |
血管炎を発症するenv-pXラットを血管内皮細胞(EC)で免疫し、摘出したリンパ節細胞を試験管内で繰り返しECと反応させることにより、EC依存的に増殖亢進を示す細胞株PC4を得た。PC4はT細胞、抗原提示細胞およびECよりなる混合細胞株である。PC4を同系野生型ラットに静注することにより肺に血管炎を誘導できたことから、PC4には血管炎惹起性T細胞が含まれていると考えられた。そこで、PC4から血管炎惹起性T細胞クローンを単離し、そのフェノタイプを解析した。得られた3つのクローンはいずれもCD3陽性、TCRαβ陽性で、Vβ鎖はVβ8.6を使用していた。また、CD4、CD8はいずれも陰性で、CD25は強陽性であった。これらT細胞のTCR Vβ鎖CDR3はRPWGGRFの7つのアミノ酸により構成されていた。これらクローンの認識分子を同定することにより、血管炎の標的分子を明らかにすることができる。 また、MPO-ANCA関連血管炎12症例の治療前ならびに治療開始後1週間の末梢血についてトランスクリプトーム解析を行った。12症例の重症度は、軽症6例、重症5例、最重症1例であり、治療後の経過は、寛解維持9例、寛解後再燃2例、非寛解1例であった。MPO-ANCA関連血管炎患者の治療前末梢血遺伝子発現プロフィールは、重症度よりはむしろ治療後の経過と相関した。アレイ解析に用いた12症例のうち、治療開始後6週で寛解が導入され、その後も寛解が維持された9症例について、治療前と治療後1週間の末梢血遺伝子発現の変化を検討したところ、58遺伝子が治療後に有意な発現減少を示し、7遺伝子が有意な発現増加を示した。寛解維持症例において、治療後に発現減少を示した遺伝子には、IFN関連遺伝子やTNF関連遺伝子、ケモカイン関連遺伝子など、MPO-ANCA関連血管炎の病態増悪に関与すると考えられる遺伝子が含まれていた。
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Research Products
(4 results)