2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管炎発症機序の解明と新しい分子標的治療法および病態診断法の開発
Project/Area Number |
20590390
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石津 明洋 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 教授 (60321957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外丸 詩野 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20360901)
岩崎 沙理 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 客員研究員 (60455631)
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Keywords | 血管炎 / 血管内皮細胞 / 自己反応性T細胞 / 末梢血 / 網羅的遺伝子発現解析 / 予後予測 |
Research Abstract |
中小型血管炎を発症するenv-pXラットから自己血管内皮細胞反応性T細胞を単離した。単離したT細胞は、TCRαβ^+CD3^+CD4^-CD8^-CD25^+NKR-P1A^-の形質を有するdouble negative T細胞であった。TCR Vβ鎖はVβ8.6を用い、CDR3領域のアミノ酸配列はRPWGGRFであった。このT細胞のサイトカイン/ケモカインプロフィールを解析したところ、IL-2(-),IL4(+),IL-10(-),IL-17(-),IFN-γ(+),MCP-1(+),MIP-1α(+),MIP-1β(+),rantes(+),eotaxin(-)を示した。このT細胞を野生型ラットに静注することにより、肺その他の組織に血管炎が誘導されたことから、単離した自己血管内皮細胞反応性T細胞は血管炎惹起性T細胞であると考えられた。 また、MPO-ANCA関連血管炎患者の治療前および治療開始1週間後の末梢血を用いて、網羅的遺伝子発現解析を行った。治療後に寛解が導入され、その後も寛解が維持された9症例について8,793個の遺伝子を解析し、治療前後で有意な発現変化を示す88個の遺伝子を抽出した。次に、抽出された88遺伝子の中から再現性の確認された30遺伝子を選定して、定量的遺伝子発現解析を行った。この解析に供した症例は18症例であり、その内訳は、予後良好群(寛解維侍)15例、予後不良群3例(寛解後再燃2例、非寛解死亡1例)であった。この18症例をトレーニングサンプルとして治療後の予後との関連について重回帰分析を行い、治療開始後1週間の時点でその後の予後を予測する最適な遺伝子セットを検討した結果、16個の遺伝子が抽出された。治療前と治療開始1週間後の末梢血を用いて、抽出された16個の遺伝子の発現変化を調べることにより、MPO-ANCA関連血管炎患者の治療後の予後を予測できる可能性が示された。
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Research Products
(8 results)