2008 Fiscal Year Annual Research Report
腸管外病原性大腸菌の新規好中球機能阻害因子の検索と機能解析
Project/Area Number |
20590463
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
大西 真 National Institute of Infectious Diseases, 細菌第一部, 室長 (10233214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿戸 学 国立感染症研究所, 免疫部, 室長 (20392318)
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Keywords | 大腸菌 / 腸管外病原性 / 好中球 / 系統 |
Research Abstract |
好中球貪食・殺菌機構に対する抵抗性に関して体系的な解析-系統B2の8つのサブグループから各3株ずつ、計24株の菌株に対して、血清耐性度を検討した結果、系統B2菌株間で耐性度が異なることが見出された。これらの血清耐性株は10%正常ヒト血清処理において、生存率は変化しないことを利用して、10%正常ヒト血清によってオプソナイズ後、好中球耐性能を検討した。その結果、系統サブグループB2-6とB2-8に属する菌株のうち、CK16およびCK17に好中球殺菌抵抗性が認められた。B2-6およびB2-8の他の菌株は必ずしも好中球に対する耐性度は高くなかった。そこで、系統サブグループに加えてO血清群とが一致した菌株に関して検討した。B2-6(O6)およびB2-8(O2)の菌株は同様の好中球抵抗性を示した。一方で、O血清群のみを一致する菌株、B2-1(O6)あるいはB2-6(O2)、は抵抗性を示さなかった。このことから、系統サブグループ内をさらに細分化するのにO血清群タイピングが利用できること、MLST解析あるいはO血清群のみでは十分ではないことが示された。 好中球CK16およびCK17の好中球からの回避機構の検討を行った。位相差顕微鏡を用いた好中球の形態観察および細胞膜透過性SYTO10とDEAD色素を利用した、蛍光顕微鏡観察からは、CK16およびCK17は細胞致死活性もたないことが示唆された。また、ケネクシンVとプロピジウムアイオダイドを利用したフローサイトメトリーを用いたアポトーシス細胞の同定では、好中球のアポとシースが誘導されることはなかった。しかしながら、CK16と混合した好中球のアポトーシスの程度は低い傾向にあり、また、好中球の活性化に関して脱顆粒を指標に検討したところ、活性化が弱いことが示された。好中球のCK16認識能が抑制されていることが示唆された。
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