2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590479
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
堺 立也 Kawasaki Medical School, 医学部, 助教 (00309543)
|
Keywords | ウイルス / 感染症 / 感染行動 |
Research Abstract |
平成20年度は,インフルエンザウイルスの感染行動を高分解能で解析する可視化システムを開発した.この可視化システムは,これまで不可能であった非標識のウイルスの直接観察を可能にした.従来は,ウイルスを蛍光標識して高感度の蛍光顕微鏡で観察していたが,この方法では,蛍光標識試薬のウイルスへの悪影響,蛍光発光に伴うウイルスの失活,褪色により長時間の観察が不可能などの問題があった.今回開発したシステムは,これらの問題をすべて解決しており,さらに非標識であるため,観察に至るまでの時間が短縮でき,またごく微量のウイルスでの観察も可能となった.また,高分解能のレンズ系を使用することで,空間分解能が向上し,20nm程度のウイルスの動きを検出することが可能になった.また同時に,ウイルスの運動を解析するソフトウェアの開発を行った.解析の過程を一部自動化することで,大幅に解析時間を短縮した.今回開発した可視化システムを使えば,これまで解析を行ったような実験室内で増殖の良いウイルスなら数倍迅速に解析結果を得られることがわかった.またこれまでは解析できなかった実験室内で増殖の悪いウイルスについても解析可能であることがわかった. 新型インフルエンザウイルスの出現は,ウイルスがトリからヒトへと宿主を変えることでおきる.インフルエンザウイルスの感染行動パターンは,ウイルス感染の種特異性を決める重要な要因である.今回開発を行ったシステムは,ウイルス行動を迅速に解析できることから,新型ウイルスの出現機構の解明や出現予測のための新技術として重要である.
|
Research Products
(3 results)