2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝酵素CYP2A6遺伝子多型に基づいた抗癌剤S1による肺癌治療の有用性
Project/Area Number |
20590536
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
乾 直輝 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 助教 (80402254)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 裕司 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50262803)
千田 金吾 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (40197611)
|
Keywords | 肺癌 / 薬物代謝酵素 / CYP2A6 / 抗癌剤S1 / 個別化治療 |
Research Abstract |
本試験は、S-1投与中の日本人非小細胞肺癌患者で(1)画像上の測定可能病変を有し、(2)Performance statusが0から2で一般状態が良好と判断され、(3)遺伝子解析を含め本研究の内容について説明を行い理解が得られ、参加同意が文書で取得可能な症例を対象としている。対象患者は、浜松医科大学附属病院を中心に協力病院として静岡県内の8総合病院で組織する静岡県肺癌治療グループで行っていて、現在順調に目標症例数に向けて集積中である。現在までの集積済みの症例での検討では、肺癌患者に遺伝子多型が存在し、健常者を対象とした既報と同様に、CYP2A6*4alleleが約20%の割合で存在していた。酵素活性のないCYP2A6*4/*4は1例。CYP2A6*4alleleを持つ患者で多型を持たない患者に比べ、抗腫瘍効果を発揮する5-FUのmaximum plasma concentrations(Cmax)やarea under the plasma concentration-time curveが低く、5-FUのプロドラッグであるテガフールのCmaxが増加していることが明らかになっている。薬物治療効果に影響を及ぼす様々な因子の中で、遺伝子多型による代謝酵素活性の変化は効果大きな影響を与える。今後、症例数を重ねる事により、本研究の目標である「非小細胞肺癌患者におけるCYP2A6の遺伝子多型の存在とその頻度を明らかにし、CYP2A6遺伝子多型がS-1の薬物代謝と薬効に与える影響を明らかにする」し、副作用を抑えた効率的なS-1の投与法の確立や個人の遺伝的体質に即したテーラーメード治療が可能となり、患者に優しい個別化した癌薬物療法の発展に寄与できると考えられる
|