2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物動態・遺伝子多型を指標とした抗がん剤投与量の新しい調節法の開発
Project/Area Number |
20590546
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
長島 文夫 Saitama Medical University, 医学部, 客員准教授 (70348209)
|
Keywords | 塩酸イリノテカン / 遺伝子多型 / 薬物動態 / 個別化医療 / UGT1A1 / ゲノム薬理学 / 用量調節試験 / 大腸癌 |
Research Abstract |
平成20年度の検討から、日本人においてはUGT1A1*6とUGT1A1*28についていずれかをホモ接合、あるいは両方をヘテロ接合で有する患者(ホモ型)では、イリノテカン減量の必要性が示唆された。埼玉医科大学国際医療センターでは、このホモ型と判明した患者に対しては、実地臨床として、イリノテカンによる1次治療を避けて、FOLFOX併用療法を1次治療としておこない、2次治療はイリノテカン単剤療法(減量を考慮)を行い、野生型の場合は、FOLFIRI併用療法を1次治療としておこない、FOLFOX併用療法を2次治療として行う方法を従来から展開している。これを後ろ向きに解析し、どちらの投与法においても臨床効果に大差はないと考えられ、この治療層別法によって治療効果を損ねる可能性が高いとは考えられないことが示唆され、論文として投稿した。 しかしながら、このホモ型に対する至適投与量はまだ決定しておらず、これを明らかにするために研究プロトコールを作成した。研究代表者の所属する研究機関が平成20年4月に埼玉医科大学から杏林大学に変更となり、両施設で臨床試験が行えるようにプロトコールデザインを再考し、同一患者内での用量調節試験を開始するための準備を進めた。 研究を立案した平成19年以降、大腸癌においては分子標的薬が本邦でも保険適応となり、さらにはイリノテカン以外の抗がん剤を有効に使用する重要性が改めて確認されてきた。イリノテカン以外の抗がん剤においても、遺伝子多型などの指標を用いることで治療効果を上げるなど、総合的な治療戦略がより重要となってきている。このために、標準的治療のひとつであるFOLFOX併用療法において、診療上、深刻な問題となる末梢神経障害を評価するアッセイ系の検討も併せて開始した。
|
Research Products
(3 results)