2010 Fiscal Year Annual Research Report
高感度同時検出発光酵素イムノアッセイの開発と3種歯周病原因菌の検出への応用
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20590584
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
伊藤 克敏 昭和大学, 薬学部, 准教授 (20223141)
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Keywords | イクオリン / ルシフェラーゼ / ペルオキシダーゼ / 同時発光検出 / イムノアッセイ / 歯周病菌 / Multiplex PCR |
Research Abstract |
これまでの研究によって、増幅効率の悪いTd菌にはAq標識抗digoxigenin Fab抗体を、Aa菌にはSA/b-Luc複合体を、Pg菌にはHRP標識抗TR Fab'抗体をそれぞれ使用することが一番良好な感度で検出できることを明らかにしていた。しかし、HRPを標識する高力価な抗TR抗体を入手することが困難であった。本研究では、新たな高力価の抗TR抗体を調製し、HRP標識抗TR Fab'抗体を用いることで高感度な測定系を構築することを目的とした。今回、家兎2羽より得られた抗TR抗血清約97mLから力価の高い抗TR抗体を約2.8mg得ることができた。得られた抗TR抗体は、ペプシン処理、及び2-メルカプトエタノールで処理することでFab'化した。これをマレイミド化したHRPと反応させ、HRP標識抗TR Fab'抗体を調製した。これを用いて三成分同時BCLEIAを行った。Pg菌、Aa菌は、それぞれHRP、b-lucの発光によりPCR増幅産物の12800倍希釈まで検出可能であった。Td菌は、Aqの発光によりPCR増幅産物の3200倍希釈まで検出可能であった。同時に行った澤田らの方法、すなわちPg菌に対しAq標識抗TR Fab抗体、Aa菌に対しHRP標識抗digoxigenin Fab抗体、Td菌に対しSA/b-Luc複合体で検出する方法と比較すると、Aa菌ではほぼ同程度の感度が得られ、Pg菌では23倍、Td菌では1.8倍高い感度が得られた。歯周病菌遺伝子の歯肉縁上プラークからの添加回収試験では、溶出操作の繰り返しは5回を最適とし、500μLのDNA溶液を得た。このときの添加回収率は、Pg菌:85%、Aa菌:130%、Td菌:70%となった。 以上、新たにHRP標識抗TR Fab'抗体を調製することで、高感度にPg菌、Aa菌、Td菌の同時検出が可能となった。歯肉縁下プラークなどの臨床検体中の菌を添加回収試験同様検出することが可能であれば、本三成分同時BCLEIAは、歯周病菌遺伝子の高感度検出法として歯周病の早期発見と治療に有用な方法になるものと期待される。
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Research Products
(3 results)