2008 Fiscal Year Annual Research Report
い草染土ならびに珪藻土粉じんによるじん肺発症メカニズムの解明と障害予防
Project/Area Number |
20590604
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
原田 幸一 Kumamoto University, 医学部, 教授 (00094029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
魏 長年 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (00363523)
皆本 景子 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (00381012)
上田 厚 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (10040198)
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Keywords | い草染土 / 珪藻土 / じん肺 / 発症メカニズム / 肺胞洗浄液 / TNF-α / マクロファージ / リゾチーム活性 |
Research Abstract |
い草染土によるじん肺発症は、気中粉じん濃度や染土中遊離ケイ酸濃度に修飾されることを、我々は、報告してきた。建築用壁材として利用される珪藻土は、珪藻の骨格をなす遊離ケイ酸(SiO_2)からなり、い草染土と同様にじん肺発症が憂慮された。そこで、我々のこれまでの手法である粉じんの経気道曝露による影響を調べるため、動物を用いて実験をおこなった。ウィスター雄性ラットを鼻部曝露実験装置に固定し、珪藻土を1日30分間、6日連続経気道曝露した。曝露濃度は、166.0±37.7mg/m^3(低濃度群)、366.7±111.9mg/m^3(中濃度群)、867.3±162.7mg/m^3(高濃度群)似て曝露した。対照群には、曝露装置への身体固定を負荷した。曝露後、ラットの肺胞洗浄液を回収した。肺胞洗浄液中の細胞を集細胞装置で回収し、ライト・ギムザ染色したのち肺胞洗浄液中の細胞像を観察した。一方で肺胞洗浄液のリゾチーム活性ならびに蛋白濃度の測定をおこなった。その結果、珪藻土の曝露濃度の増加に応じて、肺胞細胞の(好中球数/マクロファージ数)比が増加していた。また、珪藻土曝露により珪藻土を貪食しているマクロファージ、泡沫マクロファージや多核マクロファージのような活性マクロファージが出現しており、珪藻土曝露による炎症反応を観察することができた。また、肺胞洗浄中のリゾチーム濃度は、珪藻土曝露高濃度群で低下傾向を示したが、有意差はみられなかった。しかし、い草染土中の遊離ケイ酸は、生体防御に関与するリゾチームの肺胞洗浄液中濃度を上昇させていたことから、珪藻土とい草染土に存在する二酸化ケイ素の存在形態や粉じん曝露濃度などに原因が求められた。
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Research Products
(1 results)