2009 Fiscal Year Annual Research Report
い草染土ならびに珪藻土粉じんによるじん肺発症メカニズムの解明と障害予防
Project/Area Number |
20590604
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
原田 幸一 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 教授 (00094029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
魏 長年 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (00363523)
皆本 景子 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (00381012)
上田 厚 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 名誉教授 (10040198)
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Keywords | い草染土 / 珪藻土 / じん肺 / 発症メカニズム / 肺胞洗浄液 / 遊離ケイ酸 / 動物実験 / 環境調査 |
Research Abstract |
平成21年度は、平成20年度におこなった実験を継続すること,また,予備的環境調査の結果をまとめ、平成22年度(最終年度)の研究計画を立案することが、研究目的であった。具体的には、い草染土粉じんならびに壁塗り材である珪藻土粉じんの生体影響を、実験動物を用いて観察すること、ならびに、環境調査の準備のために、作業現場を観察することが目的であった。い草染土を鼻部曝露吸入実験装置を用い、ウィスター系雄性ラットに経気道曝露し、粉じんの生体影響を観察したところ、い草染土に含有される遊離ケイ酸濃度の増加により、ラットの肺胞洗浄液に活性マクロファージの浸出や好中球数の増加、ならびにリゾチーム活性の亢進を観察した。珪藻土には、添加剤の存在があり、篩を用いて粉じんのみを回収し、曝露実験に用いた。回収した珪藻土粉じんを1日30分間6日連続曝露したところ、肺胞洗浄液のリゾチーム活性亢進の傾向を観察することができた。このような生体影響が、い草栽培者や珪藻土取扱作業者にみられているか調べるための調査方法を立案することが、平成21年度の目的の一つであった。そのために、珪藻土に関ずる情報収集をおこなった。珪藻土は、生物由来の遊離ケイ酸からなり、い草染土に含有される遊離ケイ酸と同じような生体影響を誘発することが推測された。珪藻土を取り扱う作業現場では、珪藻土村を水に懸濁するとき気中へ飛散することから、作業者への呼吸器曝露の危険性が予想された。しかし、壁塗り作業では、珪藻土は湿っており飛散する状況ではなかった。このような状況を踏まえ、作業環境調査に関しては、作業環境状況、作業状況、身体状況の視点から観察することが有効であることを考慮し環境調査票を作ることが必要であると考られた。また、作業過程の手作業時に各種の物質と接触し、接触皮膚炎等の発症が予想されたことから、これら生体影響物質による修飾作用について実験的研究を推進することにした。
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