2009 Fiscal Year Annual Research Report
発育・発達期の低濃度水銀蒸気曝露による神経行動毒性と遺伝的要因の影響
Project/Area Number |
20590611
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Research Institution | Hachinohe University |
Principal Investigator |
吉田 稔 Hachinohe University, 人間健康学部, 教授 (80081660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 雅彦 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (20256390)
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Keywords | 新生児 / 水銀蒸気 / マウス / 神経行動毒性 / 脳内水銀濃度 / マイクロアレイ / 加齢 |
Research Abstract |
動物は雌性C57/BL/6マウスを用い、平均水銀蒸気曝露濃度0.057mg/m^3で新生児マウスの離乳時(出産21日)まで行い、生後3ヶ月後に行動試験を行った。また曝露終了後に脳内水銀濃度測定やマイクロアレイによる遺伝子解析を行った。行動試験はオープンフィールド、受動回避装置、モリス水迷路装置を用いて行った。生後12週齢目の行動試験ではいずれの試験でも水銀蒸気曝露群と対照群との間に著明な差異は認められなかった。脳内水銀濃度は対照群(0.003μg/g)に比べ、曝露群(平均0.38μg/g)は約100倍高値を示した。マイクロアレイによる遺伝子解析では、低濃度水銀蒸気曝露により、発現量が増加した遺伝子数は2、減少した遺伝子数18であった。12週齢目で行動試験したマウスを1年後に行動試験を行った結果では、オープンフィールドの中心滞在割合が対照群に比べ、曝露群が有意に高値(p<0.01)を示した。しかしながら、他の行動試験の項目では両群間に際は認められなかった。以上のことより、授乳期の低濃度水銀蒸気曝露(TLV 25μg/m^3)は若年期では行動影響は認められないが、加齢にともない行動機能への影響が出現した。またマイクロアレイでは多くの遺伝子に変動は見られたことより、加齢による行動機能への影響と関係を明らかにする必要性がある。 新たに平均水銀蒸気曝露濃度0.197mg/m^3で新生児マウスの離乳時(出産21日)まで行った実験では、12週齢目の行動試験ではオープンフィールドでのみ総移動距離および中心滞在割合が雌雄マウスで対照群と曝露群との間に有意な差が認められた。曝露群の脳内水銀濃度は雄性マウス平均1.87μg/g、雌性マウス平均1.95μg/gであった。以上の結果より、高濃度曝露では脳内水銀が1.0μg/gを超え、学習機能より運動機能への影響が顕著に現れた。
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Research Products
(2 results)