2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590615
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 哲 東海大学, 医学部, 教授 (10129744)
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Keywords | 予防医学 / 脂肪肝 / 肝発癌 / 酪酸菌 |
Research Abstract |
本年度は、CDAA食によるNASHモデルに対し、酪酸菌の原末を10%の割で餌に混ぜて投与し、その肝線維化、発癌抑制効果とその機序を検討した。酪酸菌は、CDAA食開始2週間目、すなわち著明な脂肪肝がみられる時期より投与した。2ヵ月目の肝線維化をAzan染色陽性で判定すると、酪酸菌投与群では有意に肝線維化が抑制された。Western blot法では、肝線維化に関与するα-SMAの蛋白発現の低下がみられたが、TGF-βの蛋白発現やMMP-2、-9蛋白発現とGelatin Zymographyによる酵素活性には差がなかった。前癌病変とされるGST-P陽性細胞の個数、面積とも酪酸菌投与群で有意に低かった。一方、門脈血中TNF-αやALT値は、酪酸菌投与群とCDAA食群で差はなかった。また、NF-κBの蛋白発現やそのリン酸化、IκBの発現も2群で差はなかった。活性酸素による酸化ストレスの関与を調べるため、脂質過酸化のマーカーである4-HNEの発現を酵素抗体法で調べると、CDAA食投与2ヵ月目では4-HNEの発現が著明であるが、酪酸菌投与群ではその発現は低下していた。血液検査では、CDAA食投与4ヵ月目のラットではコントロールと比べ、アルブミンの低下、T.Bilの上昇を認めたが、酪酸菌投与群ではその変化が有意に抑制された。 これらの結果から、CDAA食投与により、活性酸素産生による肝線維化、肝細胞の悪性変化が起こるが、酪酸菌経口投与は、活性酸素の産生を抑えることにより、肝線維化抑制による肝病変の進行抑制および肝発癌抑制効果を発揮することが示唆された。
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Research Products
(4 results)