2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590652
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
小笹 晃太郎 財団法人放射線影響研究所, 広島疫学部, 部長 (20204191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 洋 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40137162)
加藤 則人 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (30244578)
安田 誠 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (60433273)
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Keywords | スギ花粉症 / 免疫 / アレルギー疾患 / 疫学 / IgE抗体 |
Research Abstract |
京都府南部のある町の唯一の公立小中学校の児童生徒を対象として、2009年5月に質問票による調査と血清検査を行った。当年の当該地域の2~4月のスギ花粉飛散量はダーラム式補集法により合計793個と少量であった。小中学校在籍者277人のうち232人(84%)に血清検査を行ったところ、スギ花粉特異的IgE抗体の分布は陰性が45%、CAPスコア1が5%、2-3が30%、4以上が20%であった。ダニ特異的IgE抗体の分布は、陰性が48%、CAPスコア1が4%、2-3が16%、4以上が32%であった。このうち当年の症状に関する質問に回答があった226人のうち、スギ花粉抗体が陽性で当年3~4月にスギ花粉症様症状(くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、鼻がかゆい、目がかゆい、涙が出る、目がごろごろする、のいずれか)が出た者(確定者+疑い者)は44%であり、症状が3週間以上続いた者(確定者)は19%であり、スギ特異的IgE抗体価の分布と有症状者は通常の年よりも少なかった。 スギ花粉特異的IgE抗体価の分布、並びに同抗体陽性者およびスギ花粉有症状者の有病率は、各シーズンのスギ花粉飛散量と明らかな関連をみとめた。また、年齢が高くなるほど、スギ花粉およびダニ特異的IgE抗体陽性者および抗体価の高い者が多くなったが、性差についてはダニでは男子で陽性者や高抗体価の者が多かったのに対して、スギ花粉では性差はあまりみられなかった。ダニでは高抗体価の者は、小学校低学年からすでに一定の割合で存在し、年齢とともにはあまり増加しなかったが、スギ花粉では高抗体価の者は小学校入学以前には比較的少なく、入学後に増加するようにみうけられた。スギ花粉およびダニにおけるこのような違いは、スギ花粉症の病態が、従来の小児アレルギー・アトピー体質とはやや異なることを示唆している。
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Research Products
(1 results)