2008 Fiscal Year Annual Research Report
集団間の分布が著しく異なる色素形成関連遺伝子多型の個人識別への応用
Project/Area Number |
20590678
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
湯浅 勲 Tottori University, 医学部, 准教授 (00093633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入澤 淑人 鳥取大学, 医学部, 教授 (90112226)
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Keywords | 色素形成遺伝子 / 多型 / 個人識別 / 帰属集団 / 祖先集団 |
Research Abstract |
ヒトの皮膚などで生じているメラニン色素の合成量は紫外線量や緯度と相関関係があり、そのため、個人の帰属・祖先集団といった個人の情報の推定に有効であると考えられる。一方、同じ集団内の人々の個人識別は昨今の反復(STR)多型を利用した方法の開発で比較的容易に判別できるが、帰属・祖先集団といった地域性についての情報を得ることは困難である。本研究では、国際的なデータベースから色素関連遺伝子の多型を検索して、集団の分化度の指標である固定指数(F_<ST>)の高いものを抽出した。SLC45A2(MATP)遺伝子はヨーロッパ人に特異的な対立遺伝子(SNP)があり、西ヨーロッパの北部から北アフリカにかけての約20集団を調べたところ、北ではほぼ100%の頻度であるが、北アフリカでは50%の頻度を示し、北から南に向かって頻度が下がる地理的勾配が存在することを発見した。CFI遺伝子ではアジア人特異的遺伝子と日本人特異的遺伝子が見つかった。アジア人特異的遺伝子は南から北に向かって頻度の減少が見られた。この変異の近傍のSTR多型はいずれの集団でも多様性が高く、加えて、アジア人特異的な対立遺伝子が多数存在する稀有なSTR多型であった。このような遺伝子を多数同時に分析し、クラスター分析することにより、目的の個人の帰属・祖先集団の推定が可能なことがわかった。さらに、遺伝子調査するとともに、多数のSNPやSTR多型を同時に判定する方法を開発する。
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