2010 Fiscal Year Annual Research Report
新たなアルコール代謝酵素クラス3ADHのアルコール生体反応感受性における役割
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20590689
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
長谷場 健 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50156329)
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Keywords | アルコール代謝 / ADH3 / ADH1 / エタノール / アセトアルデヒド / 臓器分布 / 酵素量 / アルコール嗜好性 |
Research Abstract |
1.マウス(雄)の各臓器組織におけるADH1および3の含有量をElisa法で測定した結果、ADH1は肝(3.9±0.4mg/g)、腎(3.4±0.2)、小腸(2.1±0,8)で多く、他の臓器はその十分の一以下であった。ADH3は肝(0.35±0.0.02)で最も多く、心(0.08)、腎(0.07)がそれに続いた。 2.Wild、Adh1-/-、Adh3-/-の各ADH遺伝子型マウス(雄)に4.5g/kgのEtoHを腹腔内に投与し、各臓器組織のEtOHおよびアセトアルデヒド(AcH)を4時間まで経時的に測定したところ、EtOHはAdh1-/-がその代謝能力の低さを反映して、尾静脈血、肝、腎、脳、筋のいずれでも他の遺伝子型マウスより高かった。なお、心臓血は投与0.5hのみで両ADH欠損マウスがWildより高かった。なお、ADH3-/-の尾静脈血はWildより低く、その体内アルコール分布の異常が示唆された。AcHはAdh1-/-がアルコール代謝能力を反映して肝、腎で低かった。ADH3-/-のAcHは肝で低く、ADH3の肝におけるアルコール代謝への寄与が認められた。 3.2瓶選択法(5または10%EtOH水と水)によるアルコール嗜好性テストを各ADH遺伝子型マウスの雌雄に対して一週間行ったところ、いずれの濃度でも両ADH欠損マウスにおいて有意なアルコール嗜好性の低下が認められた。なお、Adh1-/-とAdh3-/-との比較ではアルコール嗜好性に有意な差は認められなかった。さらに、10%EtOH水のみを飲料水として1ケ月間与えたところ、死亡率はAdh1-/-(雄33.5%、雌56.3%)およびAdh3-/-(雄20.0%、雌18.2%)共にWild(両性とも0%)より高く、Adh1-/-とAdh3-/-の比較ではAdh1-/-が高かった。雌雄差に関しては両ADH欠損マウスにおいて雌が雄よりアルコール嗜好性が高い傾向が見られた。
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