2008 Fiscal Year Annual Research Report
Abeta離散・クリアランスをターゲットとした認知症治療法に関する研究
Project/Area Number |
20590697
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
里 直行 Osaka University, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (70372612)
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Keywords | アルツハイマー病 / ベータ・アミロイド / クリアランス / 離散 |
Research Abstract |
本年度はAβのクリアランスに関して、HMGCoA還元酵素阻害薬であるフルバスタチンの効果を詳細に検討した。まず、フルバスタチンは野生型マウスにおいて脳内のAβを低下させた。Aβ低下の機序としてAβの前駆体であるアミロイド前駆体蛋白C端断片(APP-CTF)が低下していた。 APP-CTFの低下の機序としてはAPP-CTFの分解促進が示唆された。次にアルツハイマー病モデル・トランスジェニックマウスにおいても脳内Aβの低下が観察された。しかし、野生型マウスで認められたスタチンによるAPP-CTFの低下は認められなかった。そこで、脳内Aβの低下の機序としてAβのクリアランスがスタチンによって改善している可能性が示唆された。そこで脳実質内にアイソトープラベルしたAβを投与し、経時的に脳内残存Aβを測定した。その結果、スタチンはAβのクリアランスを促進することが判明した。スタチンによるAβのクリアランスの促進は世界で初めての知見である。Aβのクリアランスは脳内における分解、および血液脳関門を介したAβの脳内から末梢への排出が寄与すると想定されている。脳内でAβ分解を担っているネプリライシンやインスリン分解酵素はスタチンにより活性は変わらないが、脳から末梢への排出を担っていると報告されているLDL receptor-related protein(LRP)-1の発現が血液脳関門の本態と考えられている脳血管内皮細胞においてスタチンにより増加することが判明した。 また、脳内にAβが蓄積していることはAβのクリアランスに影響を与えるか否かを明らかにする為、アルツハイマー病モデルマウスと野生型において、Aβのクリアランスに違いがあるか検討した。その結果、アルツハイマー病モデルマウスではAβのクリアランスが野生型マウスに比べ、何ら障害されていないことが判明した。
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Research Products
(9 results)