2008 Fiscal Year Annual Research Report
HBV持続発現小動物モデルを用いたHBV複製機構ならびにHBV変異誘発機構の解明
Project/Area Number |
20590776
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大川 和良 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (80432540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 智秀 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20397699)
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Keywords | B型肝炎ウイルス変異 / 核酸アナログ / 薬剤耐性変異ウイルス |
Research Abstract |
B型慢性肝炎の治療として核酸アナログが使用されているが、この際薬剤耐性変異ウイルスの出現が大きな問題となる。in vivoでの薬剤耐性ウイルス誘発機構の解明は本研究課題の1つであるが、その前段階として本年度はin vitro systemを用いて以下の2つの検討を行った。 (1)ラミブジン耐性変異出現機序に関与するHBV変異についての検討ラミブジン耐性変異HBVは、耐性責任変異であるrtM204V/I変異のみならず、変異ウイルスの複製を補助するrtL180M変異も高率に有している。ラミブジン耐性変異HBV44株の全塩基配列を検討したところprecore stop codon変異とpreS2近位部の欠失変異を有する株では有さない株よりも有意にrtL180M変異が低頻度であった。in vitro HBV増殖系を用いた検討により、これらのprecore変異とpreS2変異はrtL180M変異と同様にラミブジン耐性変異HBVの増殖に補助的に働くことが示された。(J Infect Dis2008;198:1150-8) (2)アデホビル治療効果に寄与するHBV変異についての検討ラミブジン耐性をきたしアデホビル追加投与を施行した30例において治療効果に影響を与えるHBV変異の総括的スクリーニングを施行したところ、V1753(V=not T)とC2189変異を有するHBV株ではアデホビルに対する治療効果が良好な傾向が認められた。しかしながらin vitro HBV増殖系を用いた検討ではV1753、C2189変異ウイルスのアデホビル感受性は野生株と比べて差を認めなかった。このことよりこれらの変異を有するHBVは宿主免疫反応によるウイルス排除を受けやすく、その結果アデホビル治療効果がより良好となる可能性が示唆された。(J Med Virol2009;in press)
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