2011 Fiscal Year Annual Research Report
C型慢性肝疾患での肝発癌と細胞外マトリックス分解系の遺伝子多型との関連
Project/Area Number |
20590779
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
村脇 義和 鳥取大学, 医学部, 教授 (90144659)
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Keywords | 遺伝子多型 / 細胞外マトリックス / 肝線維化 / TIMP-1 / TIMP-2 / CTGF |
Research Abstract |
C型慢性肝疾患では肝線維化の進行とともに肝発癌率が高くなり、肝硬変では年率7~8%と高いことが知られている。本研究では肝線維化および肝発癌と細胞外マトリックス代謝関連酵素およびサイトカインの機能的遺伝子多型との関連を検討してきている。 本年度は細胞外マトリックス分解酵素の生物学的活性を調整しているTIMP-1の372T/C、TIMP-2の-418G/C(17q25)の機能的遺伝子多型をPCR法で188例のC型慢性肝疾患患者(慢性肝炎95例、肝硬変93例)で解析した。TIMP-1多型はX染色体(Xp11)にあり、Tアリルで転写活性が低い。IMP-2多型は17染色体(17q25)にあり、Gアリルで転写活性が高い。慢性肝炎と肝硬変での多型頻度を比較すると、TIMP-1およびTIMP-2とも両群で多型頻度に明らかな差を認めなかった。慢性肝炎患者を5年間の経過観察で肝線維化速度を進行群と不変群に分けて検討すると、TIMP-1372T/C多型では差を認めなかったが、TIMP-2-418G/C多型ではGホモ型でCアリルキャリアに比べて肝線維化速度が速いことが示された。肝硬変患者で肝機能検査との関連を検討すると、TIMP-1では関連を認めなかったが、TIMP-2では転写活性の高いGホモ型で肝硬変自体の病変進行が強いことが示された。 加えて、本年度はTGF-B1の調節の下で線維化を促進しているサイトカインCTGFの-945G/C遺伝子多型をGozzolino Mらの方法に準じてサイクリング・プローブ法で190例C型慢性肝疾患患者(96例慢性肝炎、94例肝硬変)を解析した。 CTGF-945G/C多型ではCアリルで転写活性が低い。慢性肝炎と肝硬変で多型頻度を比較すると、CTGFの転写活性が低いCアリルキャリアが肝硬変(81%)で慢性肝年(69%)に比べて、有意に多いことが示された。慢性肝炎での検討でも、Cホモで肝線維化の進展速度が速い傾向が認められた。肝硬変で肝実質機能検査との関連を検討すると、Cホモで肝実質機能が低下していることが示された。これらの結果はCTGFの生物学的作用を考えると、転写活性の低い群で肝線維化、肝病変の進展が速いことが示されており、現在の機序を検討中である。
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