2010 Fiscal Year Annual Research Report
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20590851
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
安部 治彦 産業医科大学, 医学部・寄附講座, 教授 (70231967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 律子 産業医科大学, 医学部, 助教 (20449945)
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Keywords | 失神 / 血管迷走神経性失神 / 心原性失神 / 起立調節訓練 / 社会生活 / 外傷・事故 / 植込み型心電計 / ガイドライン |
Research Abstract |
1)神経反射生失神の治療に有効な起立調節訓練(orthostatic self-training or Tilt training)の治療に果たす役割を明らかにすることが目的であった。日本循環器学会「失神の診断・治療ガイドライン」において本治療は血管迷走神経性失神のクラスIIaに位置づけされているものの、その活用やどの時点で治療を導入するかについては未だ循環器専門医においても十分理解されていない。血管迷走神経性失神は失神発作の原因疾患として最多(60%)であるが、tilt検査を含めた診断方法が十分確立していないことがその理由と考えられる。(研究の方法)50名の器質的心疾患のない失神患者全員に起立調節訓練を施行し、その上で再発を認めた患者9名に植込み型ループレコーダー(ILR)で精査した。(結果)7ヶ月のフォローで41名は起立調節訓練のみで失神の再発を認めなくなった。再発を認めた9名はILRでフォローしたが、その内5名で失神発作の原因が明らかとなり、全員発作性房室ブロックであり、1名が洞不全症候群によるアダム・ストークス発作であることが判明し、ペースメーカ植込が必要であった。(結語)起立調節訓練により8割以上の患者が血管迷走神経性失神であったと考えられた。起立調節訓練を行った上でILRの適応を考えることは臨床上極めて有効であった。 2)神経反射生失神患者の社会生活や事故との関係について検討すること。 (研究の方法と結果)50名の失神患者(41名は血管迷走神経性失神、6名は不整脈性失神、3名は原因不明)の病歴から血管迷走神経性失神患者の失神による外傷の既往は12名(29%)、不整脈性失神患者は5名(83%)、原因不明1名(33%)であった。(結語)心原性失神では、失神時の外傷の既往を有する患者が明らかに高いことが判明した。外傷を伴う失神患者では心原性失神である確立が高いことから、注意深い観察と早期の原因診断が重要であることが判明した。
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Research Products
(49 results)