2010 Fiscal Year Annual Research Report
喘息重症化における真菌認識機構Dectin-1経路の役割の解明
Project/Area Number |
20590894
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
廣瀬 晃一 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90400887)
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Keywords | 気管支喘息 / Dectin-1 / IL-10産生性CD4陽性T細胞 / STAT6 / c-Maf / T-bet |
Research Abstract |
本研究者らは、喘息の重症化機構を解析し、IL-17産生性CD4陽性T細胞(Th17細胞)がTh2細胞依存的なアレルギー性気道炎症を増悪させることを明らかにした(Wakashin et al.Am.J.Respir.Crit.Care Med.2008)。一方近年、真菌由来β-glucanの認識機構であるDectin-1経路がTh17細胞の分化を誘導することが報告された。他方、Th17細胞依存性実験的脳脊髄炎の発症はDectin-1経路の活性化により抑制されることが報告されており、獲得免疫応答におけるDectin-1経路の役割の詳細は依然不明である。そこで本研究では、CD4陽性T細胞分化、さらに気管支喘息の病態におけるDectin-1経路の役割の解明を目的とした。 平成20年~22年の研究では、CD4陽性T細胞分化に対するDectin-1刺激の効果を検討した。その結果、Dectin-1刺激は抗原特異的Th1、Th2、Th17細胞の分化に影響しない用量で、IL-10産生性T細胞の分化を著明に促進させることを明らかにした。また、Dectin-1刺激によるIL-10産生性T細胞の分化誘導には抗原提示細胞の存在が必須であることから、抗原提示細胞に対するDectin-1刺激が、IL-10産生性T細胞の分化誘導に必須であることが明らかとなった。 平成22年度には、Dectin-1経路によるIL-10産生性T細胞の誘導にはT-betは必須ではないこと、その一方、T細胞内に発現するSTAT6の活性化が必要であり、さらにその下流の転写因子としてc-Mafが関与していることを明らかにした。現在、アレルギー性気道炎症におけるIL-10産生性T細胞の役割を解析するとともに、Dectin-1経路を用いた抗原特異的IL-10産生細胞の誘導によるアレルギー性気道炎症制御の可能性を検証している。
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