2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591037
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Research Institution | The Nukada Institute for Medical and Biological Reseach |
Principal Investigator |
額田 均 The Nukada Institute for Medical and Biological Reseach, 副理事長 (60118833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木橋 操六 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40111231)
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Keywords | 末梢神経 / 虚血 / 再潅流傷害 / 糖尿病性末梢神経障害 / 虚血性末梢神経障害 / 高血圧 / 遺伝子治療 / HGF治療 |
Research Abstract |
課題1:高血圧による末梢神経障害について:平成20年度に報告した自然発症高血圧ラット(SHR)末梢神経の虚血・再灌流傷害に対する電気生理学的・形態学的脆弱性について、さらにラット数を増やし、統計学的処理を施行中である。本年度は、SHRに2型糖尿病を発症させ、糖尿病合併SHRにおける末梢神経障害について検討し、糖尿病合併SHRではSHRおよび対照群(WKY)に比し早期から神経伝導速度が有意に遅れ、SHRはWKYに比し平均神経伝導速度が遅いが有意差はない。更に、糖尿病神経の虚血に対する形態学的脆弱性については、神経内鞘のマクロファージ増殖・活性化との関連について検討した。糖尿病神経では神経内鞘マクロファージ数が増加し、一部には活性化を認め、虚血・再潅流後早期から神経内鞘マクロファージがさらに増殖し、虚血後の時間的経過から活性化したレジデントマクロファージの可能性がある。マクロファージの増殖・活性化は糖尿病神経の虚血・再潅流傷害に対する病理学的脆弱性の発症に関与していると思われる。これらの結果は、高血圧が糖尿病性神経障害の発症・進展因子であることの裏付けとなり、高血圧に基づく末梢神経易傷害性の関与を考慮する必要がある。 課題2:末梢神経虚血・再灌流傷害に対するHGF遺伝子治療について:本実験を実施した。ラット右後肢に4時間の重症虚血を惹起、human HGF遺伝子(100μg)を組み込んだHVJ-リポソームベクターを前脛骨筋内に経皮的に、虚血直後、1、2、3週間後の計4回導入した。治療の評価は行動学的評価として感覚閾値の定量評価、生理学的評価として電気生理学的検査に加え、神経線維別知覚閾値検査による線維ごとの疼痛評価、後肢の血流量及び皮膚温を測定した。さらに疼痛の分子学的評価として、侵害受容体であるadenosine tri-phosphate(ATP)のサブタイプであるP2X、P2Yを用いて神経、後根神経節、脊髄におけるmRNAの発現をRT-PCRで評価することにより神経線維ごとについて行動学的評価と相関性についても検討した。その結果、感覚障害はHGF導入後2週目より、電気生理学的検査は3週目から有意に改善した。P2Y1、P2X3のmRNAおよび、各々の線維に対応する神経線維別知覚閾値検査でも導入後1週で有意に改善した。HGF遺伝子の逆行性神経内導入により感覚障害の改善が認められた。ATPとの相関した回復を示したことより、本法は虚血再灌流障害に対する有効な治療法となりうると考えられた。
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Research Products
(15 results)