2008 Fiscal Year Annual Research Report
超急性期脳卒中患者における24時間自由行動下血圧測定を用いた血圧動態の評価
Project/Area Number |
20591039
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
豊田 一則 National Cardiovascular Center Research Institute, 内科脳血管部門, 医長 (50275450)
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Keywords | 急性期脳梗塞 / 血栓溶解療法 / rt-PA静注療法 / 高血圧 / 血圧 |
Research Abstract |
急性期脳梗塞に対する遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン・アクティベータ(rt-PA)静注療法は、合併症として頭蓋内出血を増やし、その発現に血圧高値が関連し得ると考えられる。したがってrt-PA治療前後の血圧モニタリングと高度高血圧例への降圧薬の単回静脈内投与が推奨されている。しかしながら治療前後の血圧動態と治療成績との関連は不明な点が多い。2005年10月〜2008年6月に当施設でrt-PA静注療法を施行した脳梗塞連続117例を対象に、適正治療指針に定められた時間間隔で治療開始前から24時間後までの血圧・脈拍を経時的に測定し、その平均値、最大値、最小値、変動係数などを算出した。脳卒中患者の神経重症度を示すNIH Stroke Scaleがrt-PA投与24時間後に4点以上減少することを早期改善、脳卒中患者の自立度を示すmodified Rankin Scaleが3か月後に2以下であることを転帰良好と、定義した。患者の背景因子で補正した後も、収縮期血圧の平均値および最大値、脈圧の平均値および最大値が各々低値であることが、早期改善と有意に関連しか。同じく収縮期血圧の最大値および最小値、脈圧の最大値および最小値、脈拍の平均値、最大値および最小値が各々低値であることが、転帰良好と有意に関連した。転帰良好群は不良群と比べて、2-way ANOVAで解析したrt-PA投与6〜24時間後の収縮期血圧が有意に低かった。このように、rt-PA投与後早期の血圧や脈拍が患者転帰と関連することが明らかとなったが、血圧低値自体が転帰を改善し得るのかは、今回の研究成績からは結論づけられない。次年度以降の検討課題と考える。
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