2010 Fiscal Year Annual Research Report
先天代謝異常症の治療法選択を支援する13C呼気試験による酵素活性評価システム
Project/Area Number |
20591214
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
呉 繁夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10205221)
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Keywords | 安定同位体 / 呼気試験 / アミノ酸代謝異常症 / 13C / 酵素活性測定 |
Research Abstract |
アミノ酸代謝異常などの酵素欠損症の残存酵素活性を知ることは、より良い治療法の選択や予後予測に有用である。欠損している酵素によっては、血液細胞や繊維芽細胞には発現していないものもあり、その場合には酵素診断のために肝組織の生検などの侵襲的な検査が必要になる。本研究では、安定同位体^<13>Cで標識されたアミノ酸などの化合物を服用後、呼気中に排出される^<13>CO_2を定量する事で酵素活性を推定する^<13>C呼気試験の開発を目的とする。研究の開始にあたり、東北大学医学部倫理委員会に本研究の審査を請求し、承認された。初めに高グリシン血症の酵素診断を目的とした、[1-^<13>C]グリシン呼気試験の開発を行った。高グリシン血症患児における^<13>CO_2の排出は、正常対照者に比べ極めて低値であり、[1-^<13>C]グリシン呼気試験はグリシン開裂酵素の酵素活性の評価に有用であることを確認できた。次に、[1-^<13>C]フェニルアラニンを用いた呼気試験によりフェニルケトン尿症の酵素診断を行った。正常対照に比しフェニルケトン尿症患者群では、^<13>CO_2排出が有意に低く、欠損酵素であるフェニルアラニン水酸化酵素活性を非侵襲的に評価できることが分かった。更にピルビン酸脱水素酵素欠損症などの他の先天代謝異常症にも応用が可能であった。^<13>C呼気試験は、安全でかつ残存酵素活性の程度が評価できるため、予後診断や治療法選択に有用な検査と考えられた。
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Research Products
(5 results)