2008 Fiscal Year Annual Research Report
小児難治性急性骨髄性白血病に対するアロ反応性NK細胞による抗腫瘍メカニズムの解明
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20591252
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 義行 Nagoya University, 医学部附属病院, 助教 (40432273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 勢二 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20313992)
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Keywords | 白血病 / NK細胞 / GVL効果 / KIR |
Research Abstract |
急性骨髄性白血病(M7)の3歳男児例の白血病細胞より細胞株を樹立し、白血病が持っていた予後不良の染色体異常であるt(16;21)由来のTLS/FUS-ERG融合遺伝子が陽性であり、患者白血病細胞由来であることを証明した。この細胞株を標的として移植後のNK細胞による抗白血病効果のメカニズムを検討した。この患者さんは非寛解状態で造血幹細胞移植をHLA3座不一致の母(GVH方向にKIRリガンド不一致)を行った。患者とドナー間にKIRリガンドミスマッチがあるためアロ反応性NK細胞が抗白血病効果(GVL効果)をin vitroで証明できるかどうかを検討した。移植後のT細胞とNK細胞の骨髄における回復はリンパ球分画中でそれぞれ、day14(T 0.48%, NK 51.7%)、day21 (T 0.53%, NK 43.7%)、day28(T 1.79%, NK 39.4%)で移植前処置のATGによるT細胞除去およびNK細胞の早期回復が確認された。移植後の患者血液(ドナー由来)よりNK細胞、T細胞を分離し、患者白血病細胞に対する障害活性を検討したところ移植後Day28と早期に患者血液内のドナー由来NK細胞は、患者白血病に強い障害活性を示したが、T細胞はin vitroで障害活性を示さなかった。ドナーNK細胞の移植後の抗白血病細胞効果を経時的に検討したところ、Day90以後に障害活性が減弱しはじめ移植1年後には、感度以下となっていた。キメラ遺伝子を利用した微少残存腫瘍の検討で移植後一旦は分子生物学的寛解が得られていたが、白血病細胞に対するドナー由来NK細胞の障害活性を消失したDay90に微少再発が確認された。以上の検討からKIR不一致NK細胞の抗腫瘍効果をモニタリングすることが可能であり、移植後に何らかの免疫寛容によってアロ反応性NK細胞の障害活性が低下することからドナーNK細胞輸注療法の可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)