2009 Fiscal Year Annual Research Report
小児の難治性糸球体腎炎におけるHic-5の役割解明
Project/Area Number |
20591277
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近藤 秀治 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00380080)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香美 祥二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00224337)
|
Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / 細胞接着分子 / 糸球体腎炎 / 病理学 |
Research Abstract |
平成21年度は、小児の難治性糸球体腎炎やラット進行性腎炎においてHic-5の糸球体での発現の役割をさらに追求することが目的であり下記研究成果が得られた。 1)ヒト及びラット腎炎での免疫組織化学的検討 小児の進行性腎疾患(IgA腎症、紫斑病性腎炎、巣状糸球体硬化症)の症例やそれらと同様の組織像を呈するラット進行性腎炎モデル(片腎Thy-1腎炎)の腎組織を用いて、Hic-5の発現が活性化メサンギウム細胞マーカーであるα平滑筋アクチンの発現と相関し腎炎の活動期に強く発現することが判明した。 2)増殖因子刺激下での細胞培養実験でのHic-5の発現 ヒト及びラットメサンギウム細胞の培養細胞を用いて、線維化促進因子であるTGF-βが、濃度依存性及び時間依存性にHic-5の発現を充進させることを明らかにしてきたが、強力な増殖因子であるPDGF-BBは、逆にHic-5の発現を低下させた。また、共焦点顕微鏡を用いてHic-5の発現が細胞接着部位でパキシリンなどと協調して作用する可能性があることが分かった。 3)腎臓の発生での検討 腎臓の発生において未分化なメサンギウム細胞は腎炎活動期のメサンギウム細胞と同様に活性化状態にあるが、Hic-5の発現も未分化なメサンギウム細胞にみられることからHic-5は腎炎と同様に腎発生にも役割を果たす事が明らかとなった。 以上の成果から、Hic-5が進行性腎炎の重要な指標となるばかりでなく、治療標的となる可能性が考えられた。尚、研究成果を米国腎臓学会等で発表した。
|
Research Products
(21 results)